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2018 Fiscal Year Annual Research Report

チロシンキナーゼ受容体Metによるシグナル伝達機構の構造的原理の解明

Research Project

Project/Area Number 18J12469
Research InstitutionOsaka University

Principal Investigator

中村 希  大阪大学, たんぱく質研究所, 特別研究員(DC2)

Project Period (FY) 2018-04-25 – 2020-03-31
Keywordsチロシンキナーゼ受容体 / 細胞外 / X線結晶構造解析
Outline of Annual Research Achievements

チロシンキナーゼ受容体Metは、細胞内領域のリン酸化を厳密に制御するために、Metの細胞外領域が特定の2量体化構造(「signaling competent」な構造)をとった場合のみシグナルが伝達される調節機構をもつと考えられる。本研究では、シグナル伝達機構の構造的原理の解明を目指し、Metの生理的リガンドの代わりに環状ペプチドを用いて「signaling competent」な構造のX線結晶構造解析を行い、その構造情報を基盤とした機能解析をするために、以下の項目に従って研究を進めた。
(1)結晶化に最適なMet細胞外領域のコンストラクトの選定: Metの細胞外領域は6つのドメインで構成されているが、マルチドメインタンパク質は、一般的にドメイン間の高い柔軟性により結晶化が難しい。本研究では環状ペプチドの結合領域を決定することが重要であるため、環状ペプチドの結合に関わらないドメインがない方が結晶化に向いていると予想される。そこで、Met細胞外領域からドメインごとに削り、タグ配列を付加したコンストラクトを複数作成した。それらMet断片について発現と安定性、さらに環状ペプチドの結合能を考慮すると、Met細胞外領域全長がもっとも結晶化に適していると判断した。
(2)Met細胞外領域全長の安定発現株の取得:結晶化には、数mg単位でタンパク質が必要になるため、上記で選定したMet細胞外領域全長の安定発現株を樹立し、大量精製を可能にした。
(3)Met結晶化を促進する結晶化シャペロンの取得:Met細胞外領域の良質な結晶を得るために、すでにMetとの複合体結晶構造が報告されている3種のタンパク質を結晶化シャペロンの候補として挙げ、それらを多量に取得することに成功した。そのうち抗体のFabである2分子については、結晶化シャペロンとして実績のある小型抗体Fv-claspとして精製した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

(1)結晶化に最適なMet細胞外領域のコンストラクトの選定を行うために、Met細胞外領域からドメインごとに削り、タグ配列を付加したコンストラクトを複数作成した。この際に数種のタグ配列を用いたため、今後の機能解析実験にも応用できるMet断片を得ることができた。
(2)Metの細胞外領域に11箇所あると予測されているN型糖鎖修飾は化学的に均一でないため、結晶化に用いるタンパク質から除去することが望ましい。そこで最初に糖鎖修飾に関わるGnTI遺伝子が欠損したHEK293S GnTI-細胞を用いて安定発現株の樹立を試みたが、どうしても高発現クローンが得られなかった。そこで糖鎖修飾は正常だが高いタンパク質発現分泌量を誇るExpi293F細胞で発現させ、精製後にN型糖鎖をトリミングして除去することにした。こうして、Met細胞外領域全長が発現するクローンの取得に成功した。
(2)においては期待していたより若干進捗に遅れはあるが、当初の計画にはなかった(3)の結晶化シャペロン候補に関しては、わずかな期間で結晶化に十分量なタンパク質を得ることができ、今後の準備が整った。さらに(1)で得られた複数のコンストラクトは次年度に行う計画の機能解析にも応用が期待できるため、おおむね順調に進展していると自己評価する。

Strategy for Future Research Activity

結晶化に必要な均質なMet断片の大量精製を行うためにN型糖鎖のトリミングや、結晶化に不要なタグ配列を除去する条件の検証を行い、精製法を確立する。
次に、3種類の結晶化シャペロン分子およびMet細胞外領域断片と環状ペプチドの複合体結晶の取得を目指す。そのためには、結晶化に適した環状ペプチドや結晶化シャペロン分子の組み合わせを調べる必要があり、すでに試験は概ね終了している。今後は、実際に結晶化を行うスケールで分子間相互作用解析を行い、環状ペプチドとMet断片の複合体化を促進する結晶化シャペロンを選び結晶構造解析を行う。
申請した研究課題以外にも、Metの生理的リガンドであるHGFの結晶化に並行して取り組んでいる。HGFはMetを上回るほど可動性に富み、結晶化もより高難度になるが、MetとHGFの結合が比較的に安定であることを発見したため、Metに結合するペプチドだけでなくHGFとの複合体結晶構造解析も目指すことに方針を転換した。この研究が進むことで、申請した研究の最大の目的であるシグナル伝達機構の構造的原理の解明に向けた大きな成果となりうる。

  • Research Products

    (2 results)

All 2018

All Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Presentation] PlexinB1-阻害ペプチド融合タンパク質複合体の微結晶由来多数データマージによる高分解能構造解析2018

    • Author(s)
      中村希、山下恵太郎、平田邦生、加藤ナセル、菅裕明、山本雅貴、高木淳一
    • Organizer
      第18回日本蛋白質科学会年会
  • [Presentation] Comparison between crystal structures of PlexinB1 sema domain in complex with antagonistic and agonistic macrocyclic peptide binders2018

    • Author(s)
      Nozomi Nakamura, Yukiko Matsunaga, Masir K. Bashiruddin, Hiroaki Suga and Junichi Takagi
    • Organizer
      2018 International Symposium of Innovative Research and Graduate Education in Biomedical Sciences
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2019-12-27  

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