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2018 Fiscal Year Annual Research Report

次世代陸域モデルの構築による地球人間系の水・エネルギー・物質循環の定量評価

Research Project

Project/Area Number 18J12473
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

徳田 大輔  東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)

Project Period (FY) 2018-04-25 – 2020-03-31
Keywords全球モデル / 数値モデル / 河川水温 / 河川水質 / 物質輸送 / 湖沼
Outline of Annual Research Achievements

【全球河川水温モデルの検証】河川水質や物質の反応速度はその水温に大きく影響される.全球河川水質(物質輸送)モデルを開発する前段階として,これまで開発してきた全球河川水温モデルについて,世界各地の観測データを用いて検証した.その結果,河川氾濫の考慮によって数度程度の温度上昇が生じ,融雪期の高緯度河川や雨季の低緯度河川における水温の季節変動の再現性が向上することが分かった.
【全球熱輸送量の推計と沿岸への影響】上記のモデルを用いて,河川による全球の熱輸送量の定量評価を行った.河川は上流部における気候の影響を下流部に伝播する役割を有する.特に南から北に流れる高緯度河川では,上流からの温暖な水の流入によって,河口部の河川水温は沿岸域の海水温度よりも数度程度高く,結果として北極海沿岸部の熱収支に約10%の寄与が存在することが分かった.これらの結果から,物質輸送に関しても河川が地球システムにおいて一定の役割を果たしていると予想される.
【全球河川水質モデルの開発と検証】上記のモデルを拡張して,河川の水質を計算するモデルを開発した.その開発のため,既往の地域スケールの河川や湖沼の水質モデルのレビューも行った.豊富な観測データが存在するドナウ川で検証を行った結果,窒素や酸素の量の再現性が良好であることが確認された.
【河川・湖沼結合モデルの開発】湖沼は成層化等によって水質に大きく影響するが,これまでのモデルでは水動態でも湖沼が考慮されていなかった.湖沼を考慮した河道網を構築するため,90m高解像度の全球地形データと,全球湖沼水面分布データの結合を行った.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

河川水温の記述論文が水文学におけるトップジャーナルの1つであるWater Resources Researchから発行された.またそれを用いた全球熱輸送の解析に関する論文の準備も最終段階に入っている.
全球河川水質モデルの開発について,現状ではドナウ川のみでパラメータ設定を行って計算を行った.地域によって生物種が異なるため他地域ではパラメータを再設定する必要があるが,全球で水質が計算可能なモデルは順調に開発が進んでいる.
一方で,より頑健なモデルを構築するために湖沼過程を導入する必要がある.そもそも湖沼を考慮した河道網や河川モデルが存在しないため,水温水質のみならず水動態の計算すら出来ない現状である.本研究では,高解像度の地形データと湖沼水面データを結合して新たなデータセットを構築する段階から行っている.予定よりも時間を要しているものの,順調に開発は進行している.

Strategy for Future Research Activity

まず,湖沼を考慮した河道網の自動構築アルゴリズムの開発を行う.その入力となるデータセットの開発はおおむね完了しているが,河道網のデータ形式などについては,今後河川・湖沼結合モデルの開発を並行しながら決定する.
その後,湖沼からの流出量の計算方法についてレビュー・開発を行う.五大湖など既往の研究が蓄積されている湖沼に関しては,半経験的な式の提案などが行われているが,全球の大部分の湖沼に関しては,その流出量の計算方法が確立されていない.ダム湖は既往のダム操作モデルを援用すると同時に,自然湖については物理的に整合のとれた計算式を開発する必要がある.
上記の研究によって計算された水動態の検証と同時に,熱収支モジュールを結合して,湖沼の水温分布の検証も行う.琵琶湖など水温の鉛直分布に関する観測データを収集すると同時に,観測研究のレビューも行い,定量的・定性的両面の検証を行う必要がある.
その後,湖沼における物質動態モジュールの結合を行い,全球スケールで河川による物質輸送の定量評価を行う.

  • Research Products

    (4 results)

All 2019 2018

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Journal Article] Development of a Global River Water Temperature Model Considering Fluvial Dynamics and Seasonal Freeze‐Thaw Cycle2019

    • Author(s)
      Tokuda Daisuke、Kim Hyungjun、Yamazaki Dai、Oki Taikan
    • Journal Title

      Water Resources Research

      Volume: 55 Pages: 1366~1383

    • DOI

      10.1029/2018WR023083

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 深層学習を用いた河川水位予測モデルにおけるネットワーク構造と入力データ量の依存性2018

    • Author(s)
      徳田大輔,KOO Eunho,金炯俊
    • Journal Title

      水工学論文集

      Volume: 63 Pages: 169, 174

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 深層学習と簡易な前処理による洪水予測手法の日本域への適用:鬼怒川を例として2018

    • Author(s)
      徳田大輔,KOO Eunho,金炯俊
    • Organizer
      水文・水資源学会
  • [Presentation] Role of Rivers in Basin-scale Energy Budget and Thermal Discharge to the Arctic Ocean2018

    • Author(s)
      Tokuda Daisuke、Kim Hyungjun、Yamazaki Dai、Oki Taikan
    • Organizer
      American Geophysical Union Fall Meeting
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2019-12-27  

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