2019 Fiscal Year Annual Research Report
ニューロン自律的プロセスに着目したプリオン病神経変性メカニズムの解析
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18J12535
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田中 美咲 北海道大学, 大学院獣医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | プリオン / PERK / 神経変性 / 神経細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、プリオン病における神経変性への小胞体ストレス及びUnfolded Protein Response ( PERK-eIF2α経路) の寄与について検証した。細胞単位でPrPSc産生とPERK活性化の関係を明らかにするため、蛍光抗体法によりリン酸化PERKとPrPScの二重染色を行い、画像解析を実施した。その結果、個々の神経細胞の細胞体で検出されるPrPScシグナル数とリン酸化PERKシグナル数に正の相関 (r = 0.49) があることが示された。PERKの下流に位置するATF4については、PrPScシグナル陽性の神経細胞でも陽性にならなかった。これらのことから、PrPScが神経細胞内で直接の小胞体ストレス誘因になる一方で、ATF4を介したアポトーシス促進因子などの誘導はニューロン自律的には起こらないことが示唆された。シナプスマーカーとPrPScの二重染色を行い画像解析を実施した結果、細胞毎のシナプス終末密度とPrPSc量には相関が認められず、PrPSc蓄積とシナプス消失のニューロン自律的な因果関係を示す証拠は得られなかった。 PrPSc産生に伴うニューロン自律的な分子動態の変化を包括的に理解するため、RNA-Seqによるトランスクリプトーム解析を実施した。プリオン感染・非感染神経細胞初代培養(大脳皮質または視床由来、感染14日または21日の計4条件)での発現レベルを比較し、複数条件で有意な発現変動を示す遺伝子を108個同定した。一方で、バイオインフォマティクスによる生物学的機能の予側では、トランスクリプトームの変化が神経変性や神経細胞死に直接関連するパスウェイの活性化につながらないことが示唆された。この結果は、神経細胞初代培養における連続的なPrPScの産生が神経細胞死や突起面積の減少といった神経変性徴候と時空間的に一致しないことを示したこれまでの一連の研究成果に一致するものであり、プリオン病における神経変性がニューロン自律的には完了しないことを支持するものであると考えている。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)