2018 Fiscal Year Annual Research Report
The study of system integration in Japanese and Korean ideophones
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18J12559
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
朴 智娟 名古屋大学, 国際言語文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | オノマトペ類型論 / 言語的統合性 / 意味論 / 日韓対照研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は当該研究課題で博士論文を書き上げ、学位を授与した。本研究の研究目的は、日韓オノマトペの統合性を左右するものにはどのようなものがあるのか、日韓両言語間に統合性の差があるのか、通言語的に日韓両言語はどのように位置づけられるのか、という3つである。考察の結果、以上の課題を遂行することに成功した。研究概要を簡単に述べると、(1) 統合性を測定する諸尺度の提示を行い、意味的特定性、メタファー拡張の有無、口語性、非慣習性の4つの尺度を提示した。(2) 日本語より韓国語の方が統合性が高いという結論を導き出すことに成功した。また、本研究では、オノマトペの統合性を、文法的生起可能性と母語話者の日常会話のデータという2通りの観点より考察することで、これまでの研究で、明確に論じ分けられてこなかった当該の課題を包括的に取り上げることができた。更に、統合性の進度に関する議論にとどまらず、その背景として考えられる根本的な要因を探索し、5つの仮説を提示することができた。本研究による考察結果は、日韓オノマトペをオノマトペ類型論 (ideophone typology) という大きな地図の上に配置させんとするものである。従来、日本語と韓国語は、言語体系の近似性ゆえに、当該研究において同じグループに括られてしまいがちであった。このことからも、本研究で初めて明らかになった日韓両言語の相違は、本研究における大きな成果であり、いまだスケッチの段階であるオノマトペ類型論に着実な貢献を果たすものと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
博士論文では主に形態統語的統合性を中心に議論を進めてきたが、現在はこの他にも語彙的統合性について更に論を広げている。例えば、韓国語オノマトペの中には慣用句の一部として使われるオノマトペが数多く存在する。この課題については3月に学術論文としてまとめることができた。また、口語におけるオノマトペ使用にも議論を進め、韓国語オノマトペの中に認識モダリティーマーカーとして機能するものがあるということが明らかになった。この課題については5月の国際会議にて発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画としては、口語におけるオノマトペの使用についてさらに議論を進めていきたいと思っている。博士論文における考察で、日韓オノマトペはかなり類似する統語構造を持ちながらも実際の日常会話の使用においては異なる様相を見せることがわかった。今後はこの点に重点を置き、具体的にどのようなところが違い、その違いを生む根本的な要因にはどのようなものがあるのかについて、議論を深めていきたい。
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