2018 Fiscal Year Annual Research Report
戦後日本の地方紙と政治過程――地域の権力としての側面に着目して
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18J12661
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金子 智樹 東京大学, 法学政治学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 地方紙 / 新聞 / 日本政治 / 政治コミュニケーション / テキスト分析 / 世論 / 投票行動 / 社説 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、戦後日本の地方紙が世論形成や政治過程に与えた影響について多角的に解明することであった。本年度は主に下記のプロジェクトに並行して従事した。 1.前年度より引続き取り組んでいる「地方紙接触が有権者の投票参加を支えている」という仮説を自然的実験的事例とパネルデータを用いて検証した論文が、査読付き学術誌である『年報政治学』に掲載された。2.国政選挙における有権者の候補者選択の近接性の実態と背景について新聞接触と関連付けて分析し、日本選挙学会の年次大会や研究会で口頭報告を行った。3.地方紙を含めた現代日本の各新聞の社説を網羅的に収集・データ化し、機械学習を応用したテキスト分析の手法で数値化する研究に、学外の研究者と共同で取り組んだ。研究成果は日本政治学会の年次大会や研究会で口頭報告を行い、英文学術誌への投稿に至った。4.各地方紙が、共同通信の配信する「資料版論説」をどの程度利用して社説を書いているのかを、計量テキスト分析の指標を用いて推定し、地方紙間・トピック間の多様性を析出した。分析結果は日本マス・コミュニケーション学会の秋季研究大会で口頭報告を行った。5.戦後日本の地方紙のイデオロギー的論調がどのように形成されてきたのかを解明するために、各新聞の憲法記念日関連社説を国立国会図書館のマイクロフィルムなどを用いて網羅的に収集し、テキストデータ化と分析に取り組み、来年度の日本政治学会の年次大会に口頭報告として採択された。6.地方紙が地元政治家の活動やニュースをどのように報道しているのかについて、ポジティブ・ネガティブの側面から研究を行った。具体的には、①マルチレベルの政治家を地方紙が日常的に報じる量と内容をデータ化する作業を行った。②政治家のスキャンダルに関する地方紙・全国紙の報道をデータ化・分析し、来年度の日本選挙学会の年次大会にポスター報告として採択された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1本の査読付き論文が国内学術誌への掲載に至ったほか、3つの国内学会と各種研究会にて複数のプロジェクトに関する成果報告を行うことができた。また、次年度に実施する予定の聞き取り調査やインターネット調査、各種分析などの研究構想も明確化しており、着実に準備を進めている。本年度は主に歴史資料の定性的分析や計量分析を中心に研究に取り組んだため、地方紙関係者への聞き取り調査など次年度に行う必要がある作業も残っているももの、全体的に見れば当初の予定通りに順調に研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、本年度に行った複数のプロジェクトの研究成果について国内学会の年次大会などで報告するとともに、その他のプロジェクトについても作業を進めた上で各種研究会で報告し、フィードバックを得る。また、国内外の査読付き学術誌への論文投稿も並行して行い、可能な限り最終年度内の掲載決定を目指したい。さらに、各地方紙関係者への聞き取り調査や、回答者を一部の都道府県に限定した独自のインターネット調査の実施にも従事する予定である。
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Research Products
(4 results)