2019 Fiscal Year Annual Research Report
太陽彩層加熱現象の究明に向けた磁気流体波散逸機構の数値モデリング
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18J12677
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
坂上 峻仁 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 太陽大気 / 磁気流体力学 / 数値計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、太陽彩層の加熱機構における、磁気流体波(アルヴェーン波)の非線形効果の役割を明らかにすることである。研究では、太陽大気・太陽風中におけるアルヴェーン波の非線形過程を再現するために1次元磁気流体シミュレーションを行った。数値実験では、(1) 太陽大気・太陽風の物理量は、光球からアルヴェーン波によって輸送されるエネルギー量に対してどのように依存するか、また、(2) それらの物理量は、アルヴェーン波が伝搬する背景磁場の構造にどのように依存するか、の2点について重点的なパラメータサーヴェイを行っている。特に一昨年度は (1) について取り組み、光球からのエネルギー注入率と太陽風の密度にあまり相関がないという結果を得ていた。 上記結果は先行研究と矛盾しており、その原因究明が必要だった。そこで大気下層における磁束管の鉛直構造が鍵となると考え、 (2) のパラメータサーヴェイを昨年度実施した結果、実際に、大気下層における磁場構造が、光球からのエネルギー注入率に対する太陽風密度の依存性を決定していることが明らかになった。特に大気下層での磁場強度が大きく、アルヴェーン波の非線形効果が比較的小さい場合に限り、光球からのエネルギー注入を大きくすると太陽風密度が有意に大きくなるということがわかった。 本研究の結果は、「光球から上空へ注入されるエネルギーが多ければ多いほど太陽風は高密になる」というこれまでの定説に対し、「それは大気下層での磁場がある程度強い場合に限る」という制約を与えるものである。同時に、その制約が生じる物理メカニズムを、アルヴェーン波の非線形効果と関連付けることができたという点で、本研究は画期的だと考える。これらの結果は、日本天文学会2020年春季年会での学会発表を経て、査読雑誌に論文を投稿した。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(6 results)