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2018 Fiscal Year Annual Research Report

対称空間上の測地線を用いた連分数論の一般化、及び L-関数の特殊値の研究への応用

Research Project

Project/Area Number 18J12744
Research InstitutionThe University of Tokyo
Research Fellow 戸次 鵬人  東京大学, 数理科学研究科, 特別研究員(DC2)
Project Period (FY) 2018-04-25 – 2020-03-31
Keywords測地線連分数 / Lagrangeの定理 / L関数の積分表示 / Heckeの積分公式 / Kronecker極限公式
Outline of Annual Research Achievements

本年度は,ゼータ関数のHecke型積分公式一般化の研究および,志村曲線上の測地線連分数の研究を行なった.
本年度春ごろまでの研究で,G=GL_n/Fの放物型部分群Pに付随するEisenstein級数を,代数体のn次拡大E/Fに付随するGL_n/Fのトーラス部分群Tから定まるあるサイクル上で積分すると,拡大E/Fに付随する相対ゼータ関数が得られることを示した.そして,Eisenstein級数のKronecker極限公式の明示的な計算と組み合わせることで,相対ゼータ関数のKronecker極限公式を得た.
その後,これらの部分群P, Tを他の種類の部分群に取り替えた時にどのような積分公式が得られるか,という問題の考察を開始した.例えば,トーラス部分群TをF上の中心単純環の乗法群の正則表現から定まる部分群に取り替えた場合を考察した.この場合は中心単純環のゼータ関数が得られることが示せた.
昨年度までの研究で,GL_nの対称空間上の測地線を用いた高次元連分数の構成とその周期性の証明に成功していた.本年度はそのアイデアを用いて,測地線連分数論を志村曲線上の場合に考察した.特に (2,3,7)三角群から定まる志村曲線の場合に,測地線を用いて具体的に実数の新たな連分数展開を構成し,その収束性や周期性を考察した.結果として,総実3次体F=Q(cos(2π/7))上の相対単数群の階数1の拡大に対してLagrange型の周期性定理を証明した.すなわち,(1)本連分数による実数の展開が周期的になることと,その実数が前述のような拡大K/Fに“対応する”特別な代数的数であることが同値であり,(2)さらにその連分数展開の周期を用いて拡大K/Fの基本相対単数が記述されることを示した.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

代数体の拡大E/Fの場合のHecke型の積分公式とそれを用いたKronecker極限公式については,当初の計画通り,相対ゼータ関数のKronecker極限公式を得ることができた.特に留数公式として,相対ゼータ関数のs=1での留数がE,Fそれぞれのゼータ関数の特殊値を用いた簡明な表示を持つことが示された.これは当初の予想以上の興味深い結果となっている.
Heckeの積分公式のコホモロジー解釈については,Eisensteinコサイクルの構成法をヒントに,中心単純環のゼータ関数を考察することが重要かもしれないと考えた.そこでHeckeの積分公式を中心単純環の場合へと拡張した.今後も引き続き考察を進めていく.
これまでの研究の測地線連分数では連分数展開の一般化は行列の列としてしか得られなかったが,志村曲線上の測地線連分数論によって,分数が連なった古典的な形の連分数を用いたLagrangeの定理の拡張が得られた.これは当初予想していなかった進展である.

Strategy for Future Research Activity

Heckeの積分公式を中心単純環のゼータ関数へ拡張することで,s=0での特殊値として代数体のゼータ関数のs=1,2,3,…での特殊値を記述することができた.研究実績の概要で述べたように,これは,より一般の部分群の組P,Tに対するHecke型積分公式の例となっている.2年目は引き続き,このようなHecke型積分公式の一般化の研究を行う.
一方,1年目の研究では依然としてコホモロジー解釈は得られていない.問題は,代数体が総実体でない場合にEisenstein級数の代数的解釈であるEisensteinコサイクルがうまく定義できない点である.2年目の研究では総実でない代数体の最も簡単な場合である虚2次体の場合を解決することが問題の本質だと考え,この場合に集中して取り組む.

Research Products

(5 results)

All 2019 2018

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (4 results) (of which Invited: 3 results)

  • [Journal Article] The relative Hecke integral formula for an arbitrary extension of number fields2019

    • Author(s)
      Bekki Hohto
    • Journal Title

      Journal of Number Theory

      Volume: 197 Pages: 185~217

    • DOI

      10.1016/j.jnt.2018.08.008

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] On the geodesic continued fraction and its periodicity2019

    • Author(s)
      戸次鵬人
    • Organizer
      Diophantine Analysis and Related Fields 2019
    • Invited
  • [Presentation] 代数体の拡大に付随する相対ゼータ関数のHecke型積分表示とKronecker極限公式について2019

    • Author(s)
      戸次鵬人
    • Organizer
      複素領域における函数方程式とその周辺
    • Invited
  • [Presentation] Geodesic continued fraction for Shimura curves and its periodicity2018

    • Author(s)
      戸次鵬人
    • Organizer
      第17回北陸数論研究集会
    • Invited
  • [Presentation] Geodesic continued fraction on Shimura curves2018

    • Author(s)
      戸次鵬人
    • Organizer
      第12回玉原特殊多様体研究集会

URL: 

Published: 2019-12-27  

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