2018 Fiscal Year Annual Research Report
EPS生産性窒素固定エンドファイトによるイネの生育促進と分子メカニズム
Project/Area Number |
18J12765
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
新庄 莉奈 名古屋大学, 生命農学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
|
Keywords | 窒素固定 / Burkholderia / イネ / EPS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、EPS生産性エンドファイトによる窒素固定能を利用したイネの生育促進を目的とする。そのために申請者が単離したBurkholderia vietnamiensis RS1株をEPS生産性エンドファイトのモデル菌株として、窒素固定やイネの生育を促進するメカニズムとこれらに寄与するEPSの機能を解明する。 1. RS1株によるイネの生育促進メカニズムの解明 育苗培土に播種したイネ種子にRS1株の菌懸濁液を接種し、21日間栽培した結果、RS1株を接種したイネ苗では乾物重が有意に増加した。また総根長や平均根直径、および総窒素吸収量もRS1株の接種により増加した。RNA-seq解析の結果から、RS1株は、植物ホルモンを介した根系の発達や、硝酸トランスポーターおよびアンモニウムトランスポーターの発現誘導による土壌からの窒素吸収促進によってイネの生育を促進すると示唆された。 2. RS1株の分泌する菌対外多糖類(EPS)の役割の解明 RS1株におけるEPS生成と窒素固定活性の関連性を明らかにするため、大気酸素濃度条件でEPSを生産しない変異株の作出を試みた。変異体群のスクリーニングの結果、大気酸素濃度条件下でも液体培地を固化しない1変異体が選抜された。この変異体では、野生株と比較して、窒素固定活性(ARA)および窒素固定関連遺伝子(nifH、 nifD、 nifK)の発現が顕著に低下していた。さらにインバースPCR法によってトランスポゾン挿入部位を調べたところ、膜タンパク質であるDsbDをコードする遺伝子dsbDにトランスポゾンが挿入されていることが明らかとなった。以上の結果からdsbD遺伝子がEPSの生成や分泌に関与し、酸素存在下における窒素固定活性の維持に不可欠であることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
EPS変異株の作出を完了した。RS1株によるイネ生育促進のメカニズムを明らかにした。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は作出したEPS変異株(ΔdsbD)を用いて、植物根への接着、および植物体内での窒素固定や生育促進におけるEPSの機能を明らかにする。
|