2018 Fiscal Year Annual Research Report
意識的処理の介入の有無が人物に対する感情反応に及ぼす影響の解明
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18J12774
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
加戸 瞭介 筑波大学, 人間総合科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 事象関連電位 / 認知心理学 / 情動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,脳波計測により,意識的処理の介入の有無が顔の認知に及ぼす影響がどの時間で生じるのかを明らかにし,その処理時間に関わる認知処理プロセスの解明を目指す。これまでの研究から特定の脳波が顔認知にセンシティブであることが分かっている。そこで初年度である平成30年度では,顔認知の特定の脳波のなかでも初期の顔認知を反映すると思われる事象関連電位を用いて,顔認知の初期メカニズムを検討した。 意識的処理の介入の有無を操作するために,顔が含まれている画像(顔画像)の呈示時間を操作した実験を2種類(長時間呈示条件・短時間呈示条件)用意した。 まず初めに短時間呈示条件による実験を実施した。こちらの条件では顔の含まれる不快刺激および中性刺激と顔の含まれない不快刺激および中性刺激の計4種類の刺激を短時間呈示すると同時に課題を遂行させた。課題には刺激に意識を向けにくいものと向けやすいものの2種類が用意された。課題遂行中には脳波を計測した。計測した脳波から算出した事象関連電位について,顔刺激の有無(2)×不快・中性(2)×意識の向けやすさ(2)の3要因による分散分析を行った。その結果,意識の向けやすさに関わらず,顔の認知がなされることを示す結果が得られた。 次に長時間呈示条件による実験を実施した。呈示時間を除いたすべての条件は短時間呈示条件と同様であった。実験の結果,短時間呈示条件と同様に意識の向けやすさに関わらず,顔の認知がなされることを示す結果が得られた。 これらの実験の結果は,意識の向けやすさや観察可能時間に関わらず初期的な顔の認知がなされることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の結果から特定の事象関連電位が顔認知の初期プロセスを反映する可能性が新たに示された。また,得られた結果は現在国際誌へ投稿中であり,比較的順調な進捗状況であると考えている。その一方で,実験結果の発表が当初予定していた国際学会への発表に間に合わなかったことから「おおむね順調に進展している。」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
顔認知の後期プロセスを検討するために,引き続き事象関連電位を用いた検討を継続する。また,脳機能画像計測を用いることで関連する神経ネットワークの検討することも計画している。
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Research Products
(7 results)