2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of cognitive rehabilitation program for elder people with alcohol use disorder
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18J12808
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Research Institution | University of Tsukuba |
Research Fellow |
新田 千枝 筑波大学, 人間総合科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 認知機能 / アルコール依存症 / 高齢者 / 認知リハビリテーション / アディクション / 遂行機能 / ランダム化比較対照試験 / 神経心理検査 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者における過剰飲酒は、加齢や持病による代謝機能の低下が影響し、容易にアルコール依存症を引き起こす。これまでの研究から、高齢でアルコール依存症になると高頻度に認知機能低下を伴うことが知られている。しかし、これまでのアルコール依存症治療は、主に20代~40代の比較的若年層を中心に、断酒をして、就労などの社会復帰を目指すという回復モデルをもとに作られてきた。しかしこれは、認知機能低下を伴う高齢者への治療には必ずしも適合しているとはいえない。 そこで本研究では、高齢アルコール依存症に向け、認知機能が低下していても無理なく参加できるプログラムを開発することを目的とした。具体的な手続きとして、依存症治療の一部に認知リハビリテーションを導入し、ランダム化比較対照試験による効果を検証することとした。本研究では、認知リハビリテーションは「計画立案課題」と「自己教示訓練」を組み合わせグループで実施した。効果測定は、神経心理検査・心理尺度(MMSE,FAB,BADS動物園地図,TMT),時間的展望体験尺度,断酒に対する自己効力感,FrSBe日本版等)を実施し介入前後の2時点で実施した。 平成30年度は共同研究施設である久里浜医療センターにて介入を実施。目標症例40症例に対し、30症例を組み入れ、うち26名を対象とした。現在までのところ一部の認知機能検査に有意差を認め効果を確認した。 平成31年度は、目標症例の残り10症例ほど追加をを目指し、その後、本研究結果の公表、各種学会発表、論文化を目標とする。。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は久里浜医療センターでの介入プログラムを終え、現在までに26症例を収取した。また、26症例を対象とした解析結果から、高齢アルコール依存症に向けた認知リハビリテーションの施行が、効果指標の神経心理検査の一部に統計的有意差が認めれ、認知機能改善への有効性が確認されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は、平成31年度が最終年度のため、症例数の追加、および本研究の結果を投稿論文への公表をもって終了予定である。しかし、本研究にて少数症例による効果が現在までに確認できたことから、今後の計画として、新たに研究費を獲得し、より大規模な対象者、長期間による追跡を織り込んだ新たな研究計画を策定し、高齢者のアルコール依存症および高齢アルコール依存症の認知機能改善をねらいとした有効な治療プログラムの開発、および普及を目指した研究へと発展させていく予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Presentation] 高齢アルコール依存症の遂行機能障害に対するTinker Toyを用いた訓練の紹介2018
Author(s)
新田千枝,穴水幸子,森田展彰,松下幸生,木村充,中村泰久,菅原田鶴子,飯塚由樹,伊藤翼,楊楽,菊地創,三村將
Organizer
第42回日本高次脳機能障害学会学術総会
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