2018 Fiscal Year Annual Research Report
スギ人工林と広葉樹林に生息する土壌線虫群集構造の解明と生物指標としての応用
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18J13285
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
北上 雄大 三重大学, 生物資源学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 生物指標 / スギ人工林 / 形態類別 / 機能群組成 / 土壌pH |
Outline of Annual Research Achievements |
森林土壌にはダニ、トビムシ、線虫などの土壌動物が生息しており、中でも「線虫」は、個体数が土壌動物の中で最も多く、生物多様性を考えるうえで重要な生物群である。さらに、線虫は種によって環境変化に鋭敏に応答することから、様々な生態系における生物指標になる。しかし、我が国における森林土壌に生息する線虫の種類やその分布は不明である。したがって、本研究では、森林の健全性を示す指標として、線虫群集の解明を目的にし、三重、福井、石川、兵庫県、大阪府の5地域のスギ人工林から線虫を収集し、形態観察により分類群推定、5機能群(細菌食、真菌食、植食、肉食、雑食)への類別を行った。さらに、土壌pH、水分量、菌バイオマスとC/Nを調べ、土壌環境と線虫群集構造との関連付けを行った。その結果、全調査地合わせて8258頭観察したところ52分類群に類別された。また機能群組成は細菌食性線虫が36~56%と全調査地で最優占であった。さらに、線虫群集は採取地点の物理的な距離によらず土壌pHやC/Nのような至近的な環境要因によって有意に特徴付けられることが明らかになった。このことから土壌炭素やpHによって線虫の餌資源(細菌や菌類)が影響され、それぞれの地域で特徴的な線虫群集が形成されることが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた調査地全てからサンプルを採取でき、データ解析もおおむね終了したため。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度調査できなかった広葉樹林についても同様の実験を実施する。
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Research Products
(9 results)