2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18J13332
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
入木 朋洋 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | プロテアソーム / ユビキチン |
Outline of Annual Research Achievements |
ユビキチン・プロテアソーム系は細胞内の主要なタンパク質分解系であり、様々な疾患への関与が知られている。特にプロテアソーム活性阻害剤は多発性骨髄腫の治療薬として使用されているが、薬剤耐性獲得細胞の出現が治療戦略上の問題となっており、その原因として転写因子Nrf1の活性化によるプロテアソーム発現量の代償的な上昇が想定されている。当研究室では、Nrf1の活性化に必要なプロテアーゼとして新規アスパラギン酸プロテアーゼDDI2を同定し、機能解析を進めている。 本年度はDDI2の活性をin vitroで評価する系の構築に取り組んだが、DDI2精製タンパク質を用いてプロテアーゼ活性を評価することができる系の構築に至らなかった。そこで、DDI2のプロテアーゼ機能には何らかの共役因子や翻訳後修飾が必要であると考え、培養細胞を用いてDDI2の分子機構の解明に取り組んだ。培養細胞でDDI2を免疫沈降したところ、ユビキチンとの相互作用が確認された。さらにその後の解析により、DDI2のユビキチンとの相互作用がNrf1の切断に重要な役割を果たすことが明らかとなった。 また、DDI2の生理的機能の解明を目指して、DDI2欠損マウスの作出を試みたが、DDI2欠損マウスは胎生致死となった。Nrf1欠損マウスも胎生致死となることが知られるが、DDI2欠損マウスはより早期に致死となったことから、DDI2がNrf1以外の標的や未知の分子機能を持つ可能性を想定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
In vitroにおけるDDI2のプロテアーゼ活性評価系の構築はできていないが、DDI2の機能解明は進展しているため、(2)とした。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の研究でDDI2欠損マウスがNrf1欠損マウスよりも早期に致死となったことから、DDI2がNrf1以外の標的や未知の機能を持つことを想定している。そこでDDI2活性変異細胞、 Nrf1KO細胞をCRISPR/Cas9システムにより作出し、DDI2とNrf1それぞれの欠損による遺伝子発現の変化をトランスクリプトーム解析により比較することで、Nrf1活性化以外のDDI2の新たな機能を明らかにしたいと考えている。 前年度の研究により、DDI2によるNrf1のプロセシングには、ユビキチンとの相互作用が必要であることが明らかとなった。そこで、DDI2と相互作用するユビキチン化タンパク質を質量分析によって同定し、DDI2の制御機構を解明する。加えて、in vitroにおいてDDI2と同定したユビキチン化基質を混合することで、DDI2のプロテアーゼ活性を評価する系の構築に取り組む。
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