2018 Fiscal Year Annual Research Report
ブータンの近代化に関する人類学的研究: 技能実習生を対象として
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18J13472
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
栗田 陽子 東北大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | ブータン / 文化人類学 / 移動 / 日本語学校 / 技能実習制度 / 外国人労働者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ブータン人技能実習生を対象として彼らが来日に至ったプロセス及び日本での生活状況を調査することによって、現代ブータンの社会変化の様子を明らかにするとともに日本社会において外国人がどのように社会に適応しようとするかを明らかにすることである。本年度は、技能実習生に対する追加調査を行うととともに、日本語学校で近年急増しているブータン人留学生の調査を行ってきた。さらに、ブータンでの短期滞在調査も実現した。 日本における調査では、ブータン人留学生の来日当初から彼らの参与観察を行い、授業中の様子やアルバイトの状況などについて聞き取り調査を行ってきた。ここでは、学生のみならず教師らにも聞き取り調査を行うことによって、多角的な視点から彼らを取り巻く状況を把握することに努めた。 ブータンでは日本への留学を目指すブータン人に対して日本語を教えながら参与観察及び聞き取り調査を行った。彼らが日本へ行く目的やそれに係る様々な手続き等について把握することができた。これらの情報をまとめて、ブータン国内における来日手段についてモデル化した。また、技能実習を終えて一時帰国したブータン人にも聞き取りを行った。 一方で、近年ブータンと日本の両国においてはそれぞれ外国への労働力の送り出し、労働力の受け入れに関する政策が目まぐるしく変化している。それらを把握するために新聞記事や行政の発表する公式文書を整理し、それぞれの社会においてどのような議論がなされているかを調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初はブータンに半年ほど滞在する予定だったが、ビザ取得が困難だったことなどから3か月と約半分の滞在となってしまった。ただ、研究に対して協力的なインフォーマントと複数知り合えたことなどから、進捗の大きな遅れとはならなかったと考えている。 一方で、これまで対象としてこなかったブータン人留学生が来日したことから、定期的な参与観察及び聞き取り調査が可能となったことで、より広い視点で日本在住のブータン人を対象とした研究がかなった。計画当初では予想できなかったことであり、新たな視点をもたらした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も日本とブータン双方においてフィールドワークを中心とした研究を行う予定である。並行して、積極的に口頭発表や論文投稿を行っていく。
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Research Products
(3 results)