2018 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノムワイドなアミノ酸配列比較に基づく形態形質進化の分子基盤解明
Project/Area Number |
18J13859
|
Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Research Fellow |
飯塚 朋代 総合研究大学院大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
|
Keywords | 形態進化 / 平行進化 / 担子菌類 / 比較ゲノム解析 / 隔壁孔キャップ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は担子菌門ハラタケ綱の菌糸隔壁部にみられる微細構造「隔壁孔キャップ(Septal pore cap; SPC)」に着目し、形態形質VesiculateからImperforateへの形態進化と、ImperforateからPerforateへの複数回にわたる独立な出現(平行進化)をもたらした遺伝基盤の解明を目指している。これまでに有力な候補遺伝子としてspc33を検出した。本年度は①spc33がPerforate SPCの平行進化に果たした役割の検証 ②Imperforate SPC出現に伴い獲得されたspc33の由来遺伝子の同定を進めている。 本年度は研究内容①②についてそれぞれ以下の通り研究成果を得た。まず、上記①については課題解決に向けてspc33のin vivo機能解析の予備実験を行なった。その結果、必要な技術確立がほぼ終了し、来年度の具体的な機能解析に向けて準備を整えた。②についてはspc33の由来はSer-The protein kinaseモチーフを持つキナーゼであることを発見した。Vesiculate SPC を持つ種から由来遺伝子として検出されたMRCK Ser-The protein kinase はアクチン制御に関わることが知られている。一方、Imperforate タイプの種およびPerforate タイプの種がのみが持つタンパク質SPC33はSPCの表面に局在しており、細胞質連絡を通るアクチンフィラメントと接している。このことはspc33の祖先的遺伝子であるMRCK Ser-The protein kinaseが持つアクチン制御因子がspc33の機能にも影響を与えた可能性を示唆している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、候補遺伝子spc33の機能解析に向けた技術確立を遂行することができたほか、spc33の由来となる遺伝子を特定することに成功した。よって本研究の進捗状況はおおむね順調であると判断される。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和元年度は、主に①spc33がPerforate SPCの平行進化に果たした役割の検証 を中心に研究を進める。SPCのImperforateからPerforateへの平行進化を分子レベルで明らかにすることを目指し、トランスジェニックによりspc33遺伝子の機能を解析する。当初の計画ではImperforateタイプの種およびPerforateタイプの種が持つspc33を菌株間で入れ替えて発現させることを試みていたが、適合する発現プロモーターが見つからなかったことや、spc33ノックアウト株は致死である可能性が高いことが判明したため、現在はTulasnella calospora(Imperforate)のspc33をCoprinus cinereus (Perforate) で強制発現させることを計画し、準備を進めている。
|
Research Products
(1 results)