2019 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノムワイドなアミノ酸配列比較に基づく形態形質進化の分子基盤解明
Project/Area Number |
18J13859
|
Research Institution | National Institute of Genetics |
Research Fellow |
飯塚 朋代 国立遺伝学研究所, ゲノム・進化研究系, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
|
Keywords | 並行進化 / 収れん進化 / 形態進化 / 担子菌類 / 隔壁孔キャップ / 比較ゲノム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
形態形質の進化は生物多様性を生み出す主要な要因の1つである。本研究では担子菌門ハラタケ亜門の隔壁微細構造にみられる隔壁孔キャップ(SPC)に着目した。SPCの形態形質には主に3タイプ(Vesiculate, Imperforate, Perforate)が存在し、中でもImperforate SPCからPerforate SPCへの進化では収れん進化現象が起きていることが知られている。しかし、この形態の違いをもたらした遺伝的背景は不明である。そこで申請者はSPCの形態形質の違いと相関する変異を担子菌ゲノムから検出し、形態進化をもたらした候補遺伝子を得ることを目的として比較ゲノム解析を行った。その結果、タンパク質コード遺伝子spc33が検出された。この遺伝子ではPerforate SPCがみられる複数の系統で同一のアミノ酸置換が生じていた。加えてシンテニー解析、祖先配列推定、遺伝子系統解析の結果、これらのアミノ酸置換は水平遺伝子移行の結果ではなく、平行置換の結果であると推定された。このことから、Perforateタイプのspc33はそれぞれのPerforateタイプの系統における独立な進化イベントにより獲得されたことが示された。一方、Vesiculate SPCを持つ種のゲノム配列にはspc33遺伝子がコードされていないことが明らかになった。そこでVesiculateタイプ種におけるspc33の祖先遺伝子を調べた結果、MRCK Ser-Thr protein kinaseが検出された。以上の結果により、spc33がSPCの形態進化における有力な候補遺伝子であることを示したと共に、SPCの形態レベルの進化に伴うspc33遺伝子の配列レベルでの進化を明らかにした。これにより、形態進化の遺伝基盤を知るための基礎的な知見を提供することができた。
|
Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(1 results)