2018 Fiscal Year Annual Research Report
分布的な力・滑り覚と筋骨格を有する二足歩行ロボットの足
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18J14114
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡谷 泰佑 東京大学, 情報理工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 局所滑り覚センサ / 力センサ / 静止摩擦係数 / ロボットの足 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度には主に次の3つのことを行った. ①力・トルクを同時に計測可能な局所滑り覚センサの設計・試作・評価を行った.力・トルクと静止摩擦係数を同時に計測することで,滑りを防止する制御が可能となる.これまでの研究で確立した製作プロセスを踏襲しつつ,センサチップの設計,回路基板の設計等を変更した.静止摩擦係数の異なる平面にセンサを押し当てて力・トルクを加える実験を行い,静止摩擦係数を推定しつつ,静止摩擦係数が異なる状況でも正しく力・トルクを推定できることを確認した. ②接触角度の変化や衝突に対応可能なセンサ構造を考案した.ロボットの足として用いる場合,センサが路面に対して傾いて接触することや衝突することも考えられるが,そういう場合にも正しく静止摩擦係数を推定できる必要がある.センサ表面の形状を曲面にすることで,接触角度の影響を低減できることを示した.また,ばね・ダンパを組み合わせることで,路面に対して衝突した場合でも静止摩擦係数を推定できることを確認した. ③リンク機構・モータ・センサを組み合わせたロボットの足を試作した.路面との接触部分にセンサを取り付け,接触面に作用する垂直抗力と摩擦力を操作するための機構を有している.来年度は引き続き,この足を用いて足裏の滑りを防ぐ制御の実証を進めていく. 本年度の成果については,国内学会(第35回センサシンポジウム)および国際学会(MEMS2019)で報告を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画におおむね沿った形で研究が進んでいる.今年度は次の主に次の3つのことを計画していた. ①センサの設計・試作・評価を行う.これについては,想定通り,これまでの研究で確立した製作プロセスを踏襲しつつ,センサチップの設計,回路基板の設計等を変更することで進行した.評価実験を含む成果について,現在論文執筆を行っている. ②骨格・ばね・アクチュエータ等を組み合わせたロボットの足を試作する.これについては,一部想定した足構造からは変更を行い,ばねを含まないより簡潔な構造を試作した.足の滑りを防止する制御を実証する上ではより制御しやすい簡潔な構造が望ましく,研究遂行上は問題のない変更である. ③足裏の接触状態を観察しながら足に力・トルクを加える実験を行う.これについては,接触状態は①で行った評価実験で確認しつつ,接触角度の変化や衝突に対応できるように改良したという点で計画以上に進展したと言える. 研究成果についても国内学会および国際学会で発表しており,おおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度には主に次の3つを行うことを予定している. ①センサ,アクチュエータを繋いだ計測・制御システムを構築する.アクチュエータを含むロボットの動作の中でセンサの動作を評価する.昨年度に試作したロボットの足を用いて,滑りを防ぐ制御が可能なことを実証していく. ②硬い路面で滑り状態を制御する実験を行う.硬い路面上にオイル,パウダー等の物質を塗布し,滑りやすい路面上でもロボットの足が機能することを確認する.ロボットの足が路面に対して接触したときに,滑りを防止しつつもロボットの移動が可能なことを示す. ③軟弱路面上で足に力・トルクを加える実験を行う.軟弱路面を含む路面とロボットの足の間に働く時空間的な力分布について考察する.特にロボットの足は路面に対して衝突しうることから,衝突を含むロボットの足の動作も確認する. 得られた成果は国内学会(センサシンポジウム等)での成果発表,および論文化することを計画している.
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