2018 Fiscal Year Annual Research Report
短時間・高強度運動に対する「血中乳酸濃度増加率」を用いた新しい測定評価法の開発
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18J14183
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹井 尚也 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 運動生理学 / 測定評価法 / 低酸素 / トレーニング科学 / 乳酸代謝 / エネルギー代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
短時間・高強度運動後の血中乳酸濃度の変化動態から運動中のエネルギー代謝を測定評価する方法の確立を目指してきた。陸上選手を対象として短時間・高強度運動(400m走)を実施し、その運動前後に高頻度かつ連続的に採血を実施することにより、運動による血中乳酸濃度の変化動態を明らかとした。その結果、①血中乳酸濃度の増加率が高いほど、400m走の成績が良いという関係や②短距離選手と中長距離選手の間で血中乳酸濃度増加率と400m走の成績との関係性が異なることを見出した。このことから血中乳酸濃度増加率が短時間・高強度運動のパフォーマンスやエネルギー代謝の指標として応用可能であることが示唆された。また、血中乳酸濃度増加率を用いることで種目適正の判定やタレント発掘に活用できる可能性が示された。以上の研究結果は原著論文として掲載・公開されている (Takei et al., J Phys Fitness Sports Med, 2018)。 次に、運動トレーニングにより短時間・高強度運動後の血中乳酸濃度変化動態がどのような影響を受けるか検討した。血中乳酸濃度が十分に高まるトレーニング様式として高強度インターバルトレーニングを用いた。また、筋中や血中乳酸濃度を過剰に高める特殊環境として低酸素環境を用いた高強度インターバルトレーニングも併せて実施した。その結果、通常酸素環境下での高強度インターバルトレーニングを実施した群では、トレーニング介入後に血中乳酸濃度がより高値を示す傾向が見られた。一方で、低酸素環境下での高強度インターバルトレーニングを実施した群では、トレーニング介入後の血中乳酸濃度がより低値を示す傾向が見られた。このことから、①トレーニング環境により乳酸代謝の適応が異なることや②血中乳酸濃度測定により異なる生理学的適応を検討できる可能性が示された。これらの研究成果は現在学術誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた実験は順調に実施されている。また、初年度に原著論文を1報報告することができ、2報目も現在査読中である。学会発表も国際学会1件、国内学会2件を実施しており、当初の予定通り研究活動を実施することが出来ている。以上のことから、本研究課題はおおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策として、海外の研究者と連携を取りながらこれまでに行った研究と同様の研究をを再度実施し、より多角的な視点(生理学的視点及び神経科学的視点)から検討を行う。平成31年度(令和元年度)採用の若手研究者海外挑戦プログラムより渡航費を受給し海外の受け入れ研究者の下で研究を進展させる予定である。若手研究者海外挑戦プログラムによる渡航は当初予定されていないものであるので、渡航先でスムーズに研究を実施し、十分な研究成果を得るために事前に受け入れ研究者と面談や打ち合わせを実施し、滞りのない研究実施を目指す。
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Research Products
(4 results)