2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18J14262
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
細谷 俊之 東京工業大学, 理学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 原子波干渉計 / 極低温原子 / 精密測定 / 量子慣性センサー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、環境磁場に対して高い耐性を持つアルカリ土類様原子を起用して原子波干渉計を構築し、100μdeg/h以下のバイアス安定性を有する超高精度ジャイロスコープを実現することを目的としている。 アルカリ土類様原子を用いた原子波干渉計の場合、アルカリ原子を用いた干渉計のように原子の内部状態を利用して干渉計出力状態の測定を行うことができない。そのため、干渉計の出力状態を空間的に分離し測定する必要があり、原子ビームの横方向速度がマイクロKレベルであることが求められる。私は、低速Yb原子ビームに対して、波長556nmの異重項間遷移で二次元冷却を行うことで横方向速度をマイクロKレベルまで冷却した原子ビーム源を準備し、高次ブラッグ回折を用いた原子波干渉計を構築することで、超高性能ジャイロスコープを実現しようと計画している。 今年度は、原子波干渉計のための低速Yb原子ビーム源構築を目標として研究を遂行した。低速Yb原子ビーム生成を行うために必要となる波長399nm光源、横方向速度をマイクロKレベルまで冷却するための波長556nm光源、2種光源系の構築を行い、周波数安定化のためのリファレンスとして、低熱膨張ガラスを用いた光共振器を準備した。低速Yb原子ビーム源用の真空装置を構築し、原子オーブンから出てきたYb原子に対して、波長399nmの光でゼーマン減速、二次元磁気光学トラップを行ことで、二次元的に冷却されたYb原子集団を生成した。その原子集団に対してプッシュ光を照射することで原子を押し出し、低速Yb原子ビームの生成に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の目標は原子波干渉計のための低速Yb原子ビーム源構築であった。研究実績にも示したように、真空装置・光源系の準備が終了し、波長399nmのレーザーを用いて、ゼーマン減速、二次元磁気光学トラップを行い、プッシュ光を照射することで低速Yb原子ビームの生成に成功した。原子ビームの横方向速度をマイクロKレベルまで冷却するための556nm光源についても、周波数安定化まで含めて既に終了しており、次年度の早い段階で該当光源の実験系導入も終了する予定であるため、今年度の計画はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、波長556nmの光源を実験系に導入し、横方向速度をマイクロKレベルにまで冷却した低速Yb原子ビームを構築後、原子波干渉計の実験に移行する。 低速Yb原子ビームに対して高次ブラッグ回折を起こす場合、進行方向の速度や横方向速度の分布により、出力状態が複雑になることが懸念される。実験結果を既に行っている数値シミュレーションの結果と比較しながら、高次ブラッグ回折の諸条件について精査する。その知見を基に、低速Yb原子ビームに対して、3ヶ所で高次ブラッグ回折を起こすことで、マッハ・ツェンダー型の原子波干渉計を構築する。原子波干渉計についてノイズ特性等、各性能を詳らかにした後、最終的に原子波干渉計を用いた角速度測定の実験を行う予定となっている。
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Research Products
(6 results)