2018 Fiscal Year Annual Research Report
超伝導回転機の熱サイフォン冷却システムに関する研究
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18J14409
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
山口 康太 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 熱サイフォン / 超伝導回転機 / 極低温 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は次世代電気推進航空機の超伝導回転機の開発に先立ち、高速回転及び傾斜環境下での熱サイフォン冷却システムの熱輸送特性である熱輸送能力及び熱抵抗を得ることを目的とする。熱サイフォン冷却システムは冷媒の蒸発と凝縮を利用して熱輸送を行うため、システム内部は気相と液相の冷媒が混在する。また、超伝導回転機内部に回転軸を通して冷媒を導く必要があり、冷媒移送管は垂直管と水平管で構成されL字型となる。従って、次世代電気推進航空機の離着陸のような傾斜環境下では冷媒移送管内部に冷媒が滞留し、熱輸送能力の低下が懸念される。また、次世代電気推進航空機の高速回転で冷却保持できることが重要となる。 本年度は、ネオン冷媒を用いた熱サイフォン冷却システムの傾斜環境下、高速回転環境下での熱抵抗及び熱輸送能力について研究を進めた。傾斜時における熱輸送特性においては冷媒移送管に2重管を採用した熱サイフォン冷却システムを傾斜させて熱負荷試験を行うことで評価した。冷媒移送管に2重管を用いることによりシステムを30度傾斜させた状態でも熱輸送を行えること、2重管を用いない場合蒸発器内の液相冷媒がなくなるドライアウトを起こすことを確認した。また気相冷媒の通路となる冷媒移送管の2重管内管径を変えて熱負荷試験を行うことにより、内管径が熱サイフォン冷却システムの熱輸送特性に依存することを明らかにした。高速回転時における熱輸送特性では、高速回転に伴う発熱を抑制する極低温回転継手を用いて、最大1000 rpmの回転速度にて熱サイフォン冷却システムの蒸発器を回転させることで評価した。回転数の増大に伴い、熱サイフォン冷却システムの熱抵抗が減少し、無回転時と比べ低い温度に保つことが可能であることを確認した。また、1000 rpmの回転速度で安定的に冷却できることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画であったネオン冷媒を用いた熱サイフォン冷却システムでの傾斜時、高速回転時についての評価を本年度終えることができた。熱輸送能力が冷媒移送管の内管径に依存し、傾斜により熱輸送能力が減少することを確認した。また、高速回転における熱輸送特性においても、回転速度の上昇により熱抵抗が減少するなど明らかになった。従って、おおむね順調に進捗しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の結果を踏まえて、窒素冷媒を用いた熱サイフォン冷却システムでの傾斜時、高速回転時についての熱輸送特性についての評価を行う。冷媒がネオンから窒素へと変更するため、本年度用いた熱サイフォン冷却システムを窒素冷媒用に再構築する必要がある。システムの再構築が終わり次第、傾斜時と高速回転時それぞれの熱輸送特性を評価する。また、本年度得られたネオン冷媒の熱輸送特性と比較し、超伝導回転機の冷媒の選択性についても検討を行う。
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Research Products
(1 results)