2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18J14434
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小南 弘季 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 神社 / 東京 / 近世城下町 / 鎮守社 / 氏子域 / 近代社格制度 / 境内拝借地 / 露店商い |
Outline of Annual Research Achievements |
4月から6月は、前年度末までにおいて研究対象としていた明治初頭の東京における神社と神官の問題を論文化した。このテーマは本研究の後半部における柱の1つとなるものであり、かつ近代移行期における社会組織の変貌を語るうえでの重要な意味をもつ論考となった。要約すると、明治初頭の東京において社格制度に基づいた神社の階層化や神職身分の排除、列格社神官による無格社管理制度などによって、伝統的な社家支配や神主組合は解体され、神社自身を絶対的な核とする官僚体制が再構築されたことが新たに明らかになった。 7月から9月は、年度中期においては、本研究の前半部における論点でもある、制度史と都市空間史の交差を扱った内容に関する研究を行い、論文化した。具体的には、氏子域形成の初期的状況を詳細に分析した結果、東京においても「氏神」の選定や多重氏子の整理、および武家地の分割を通して、社寺掛による伝統の選択的な再評価が行われたことによって、東京の氏子域は上記のように均質化された複層性を有する領域として再構築されたことが明らかとなった。 10月から12月は、本研究のプロローグとなりうる近世江戸市中における氏子町の分布に関する研究を執り行い、論文化した。特に「御府内備考続編 神社部」をおもな史料として用い、記載された由緒から各神社の勧請や再興、あるいは遷座の実態を分析している。その結果、近世初頭において植民的に形成された領域的な鎮守と徐々に形成される個別の鎮守が複層し、そのなかで氏子が揺動するといった構造を掴めた。 1月からは、本研究の土台となる明治初頭の東京における神社の境内空間についての研究に着手している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究内容の論文投稿に予定より多くの時間を費やしてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
6月末までに現在進行中である明治初頭の東京における神社の境内空間についての研究をまとめ論文化、海外学会において発表する。その後研究全体のキーストーンとなる日枝神社の史料の読解にかかる。
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