2018 Fiscal Year Annual Research Report
電気刺激を用いた触覚通信制御による触覚臨場感コミュニケーションの実現
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18J14704
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
北村 知也 埼玉大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 機能的電気刺激 / バイラテラル制御 / ヒューマンインタフェース |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では多自由度遠隔操作システムの構築に向けて、機能的電気刺激を用いた人と人の触覚双方向制御システムの実現を研究目標としている。 本年度ではフーリエ変換を用いた伝達関数推定手法を用いて、人への刺激電流と発揮力のモデルを同定することを提案した。 制御を行う場合に入力と出力の関係性を同定することは重要であり、機能的電気刺激を用いた身体制御においても同様のことが言える。しかし、これまで人への刺激電流と発揮力の関係は深層学習などを用いてモデル化されてきたが、高性能のPCが必要となることや逆モデルの作成が困難であることが問題となる。そこで、本年度の研究ではフーリエ変換を用いた伝達関数の推定手法を用いて人への刺激電流と発揮力の関係はむだ時間を含む1次遅れ系で近似できることを示した。伝達関数で表すことは対象が線形システムで近似できることを示し、逆モデルの作成が容易になり、また計算量の大幅な削減が見込まれる。モデルの同定時には用いられなかった入力パターンを用いた発揮力推定実験でも、高い推定精度を示しモデルの妥当性を示すことができた。 加えて、人の筋特性は筋長によって変化することが示されており、筋長を考慮したモデリングにも取り組んだ。筋長の変化は時定数およびゲインに変化を与えることを示し、それらを考慮したモデルを再構成した。実験では、モデル化に用いない関節角度でも高精度で発揮力を推定できることを示した。 本研究成果は複数の査読付き国際学会に採択され、学術的な新規性・有用性を評価された。従って、本年度の研究成果は機能的電気刺激を用いた動特性のモデル化という課題に対して大きく貢献するものであり、大いに成果を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究では人の動特性、すなわち人への刺激電流と発揮力の関係のモデル化に着手した。 当初の研究計画では深層学習を用いたモデル化手法を考案していたが、高性能のPCが必要なり遅延が大きくなることや高価になること、加えて逆モデルの作成が困難であり所望の力を発揮するために必要な電流を求めることが困難となる可能性があった。そこで、本年度の研究ではフーリエ変換を用いた伝達関数推定手法を用いることで、人の動特性を伝達関数で近似することを試みた。 結果では人の動特性はむだ時間を含む1次遅れ系で示せることを確認し、同定に用いない刺激パターンを入力した場合にも高い推定精度を示した。本研究成果は複数の査読付き国際学会にも採択されたことから世界的に見ても評価が高い研究成果であると言える。 また、高性能PCを必要としない点は機能的電気刺激を用いたリハビリテーションやヒューマンインタフェースを用いる分野で非常に有用性があり、社会的に見ても大きな成果であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究では人の動特性の同定に着手し、大きな成果を得ることができた。 今後はこの研究成果を基に制御性能の向上に着手し、多自由度触覚双方向通信システムの構築を行っていく。
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Research Products
(4 results)