2019 Fiscal Year Annual Research Report
On the relationship between sentence-level syntactic properties of utterances and the accompanying gestures
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18J14784
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡久 太郎 京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | ジェスチャー / 韻律 / 統語構造 / 統語的曖昧性 / 第二言語理解 / パラ言語的情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
採用最終年度は、主に(1)前年度の理論的議論を背景に、その妥当性の検証のために日本語母語話者への実験を行い、(2) 議論の対象を、日本語を第二言語として学ぶ学習者に拡げて、その実験を行った。 (1) については、ジェスチャーや韻律といった伝統的には言語学の研究対象外の要素として扱われてきた要素は共起する発話と切り離して考えることは不可能であり、むしろ積極的に言語学の考察対象とすべきであるといった理論的議論に基づき、統語的曖昧性を有する発話が、共起するジェスチャー・韻律にどのような影響を与えるのかを調査するべく、前年度に行なっていた実験参加者数を拡大させ、収集したデータの分析と統計的分析を行った。 (2)については、発話理解における発話内容以外の情報の利用は母語話者と非母語話者の間では異なるという先行研究に基づき、日本語を第二言語として学んでいる話者での実験を行った。具体的には、香港教育大学の任演納助教授と共同研究という形で、日本語を第二言語として学ぶ香港在住の広東語母語話者への実験を実施した。 (1)の成果としては、発話の統語構造を表すジャスチャーは統語構造に応じた韻律に影響を与えるものであること、また単語記憶や上肢運動のような単純な認知的負荷とは異なるものであることが示唆された。これは、韻律やジェスチャーが発話の統語構造という言語的特性と密接に結びついていることを意味しており、これまでの言語学研究の対象が限定されすぎていたことを示すという意味で重要である。(2)の成果としては、第二言語話者は、発話の統語的曖昧性を(単なる読みの場合とは異なり)韻律情報を頼りに正しく解消することができる一方で、視覚情報であるジェスチャーは曖昧性解消の一助とはなりにくいことが示唆された。これは、第二言語話者の言語理解の諸相を明らかにする上で重要な意味を持つ発見である。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)