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2018 Fiscal Year Annual Research Report

Design of electron shuttling polymers for regulation of cell metabolism

Research Project

Project/Area Number 18J14910
Research InstitutionThe University of Tokyo
Research Fellow 金子 真大  東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
Project Period (FY) 2018-04-25 – 2020-03-31
Keywords細胞内レドックス状態 / リン脂質ポリマー / 細胞膜透過性ポリマー / 生物電気化学 / 細胞外電子移動 / 代謝 / ミトコンドリア / がん細胞
Outline of Annual Research Achievements

電子伝達系は、エネルギー代謝の中心を担っており、そのレドックス状態は様々な生細胞の代謝に対して大きな影響を有している。そのため、電子伝達系レドックス状態を制御する技術は、エネルギー・環境・医療といった多様な分野に貢献する。先行研究において、生体親和性・細胞膜透過性を有しフェロセン類を酸化還元ユニットとする両親媒性電子輸送ポリマーpMFcと電気化学的手法を用いることで、細胞内のレドックス状態を制御する手法は実現していた。しかし、電子輸送ポリマーと目的の細胞内酸化還元種とを選択的に反応させる手法は、全く確立されていなかった。本研究では、電子輸送ポリマーの設計自由度の高さを生かし、(1) pMFcへの疎水性ユニットの導入、(2) pMFc酸化還元ユニットのキノン類への置換という二つの分子設計戦略により、電子伝達系と選択的に電子授受を行う電子輸送ポリマーの開発を目指した。
本年度では方針(1)の妥当性について集中的に検討した。疎水性ユニット含有率、酸化還元状態の異なるpMFcポリマー物性評価の結果、反応選択性実現のためには酸化還元ユニットが酸化体・還元体どちらの状態でも疎水性を有していることが望ましいことが明らかになった。さらに本年度は、これまで対象とされてきた微生物細胞だけでなく、哺乳類細胞に対しても電子輸送ポリマーの適用を実施した。pMFcとヒト乳腺がん細胞由来MDA-MB-231細胞を用いた検討の結果、本手法が哺乳類細胞に対しても有効であることを見出した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

電子輸送ポリマーpMFcの物性検討により、pMFcが酸化体となった時に、フェロセンがフェロセニウムカチオンになることで、ポリマーが完全に親水的になることを見出した。この結果を踏まえると、フェロセン類を酸化還元ユニットとして用いた場合、酸化還元ユニットがポリマー会合体外部に露出することになり、細胞質中の親水性酸化還元種と反応してしまうことが懸念される。実際に、疎水性n-butyl methacrylate (BMA)ユニットが導入されたポリマーと親水性酸化還元種の反応性を評価したところ、BMAユニットの増加による反応性の低下は見られなかった。したがって、本研究が目指す反応選択性を実現するためには、酸化体と還元体のどちらの状態でも疎水性を有していることが望ましく、方針(2)の酸化還元ユニットのキノン類への置換が有望な手法であることが示唆された。
また、本手法の適用生物種を拡張するため、これまで用いてきた微生物細胞だけでなく、哺乳類細胞への応用にも取り組んだところ、本手法は哺乳類細胞に対しても有効であることが確認された。ヒト乳腺がん由来のMDA-MB-231をモデル細胞として、pMFcの細胞への影響を検討した。還元体pMFcは細胞生存率に影響を与えなかった一方で、酸化体pMFcにおいては、濃度依存的に細胞生存率が低下する傾向が認められた。さらに、酸化体pMFcはアポトーシスを誘導していることが確認された。これらの結果は、pMFcを介した電子引き抜きによりがん細胞内のレドックス状態に摂動が与えられ、がん細胞にアポトーシスが誘導されたことを示唆している。以上から、電子輸送ポリマーが、がん細胞の新規増殖抑制手法として利用可能であることが期待される。
以上のように、本年度において電子輸送ポリマーの設計指針が明確化し、適用細胞種の拡張が実現したため、期待通り研究が進展していると考えられる。

Strategy for Future Research Activity

酸化体と還元体のどちらの状態でも疎水性が保たれたキノン類を酸化還元ユニットとする電子輸送ポリマーの合成に取り組む。電子輸送ポリマーと抽出ミトコンドリアを用いて、ポリマーとミトコンドリアの反応性を検討する。また、電子輸送ポリマーの細胞内で反応性の評価のため、ポリマーを微生物細胞や哺乳類細胞に適用し、細胞内の発酵生成物や酸化還元活性種(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、グルタチオンなど)の濃度・酸化還元状態の測定を行う。

Research Products

(4 results)

All 2018

All Presentation (4 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Presentation] 電子伝達高分子を介したレドックス摂動が概日時計に与える影響2018

    • Author(s)
      河合和紀、石川聖人、金子真大、 田中謙也、 中西周次、 堀克敏
    • Organizer
      第25回日本時間生物学会学術大会
  • [Presentation] がん細胞のアポトーシスを誘導する細胞膜透過性レドックスリン脂質ポリマーの創製2018

    • Author(s)
      金子真大、石川聖人、石原一彦、中西周次
    • Organizer
      第40回日本バイオマテリアル学会大会
  • [Presentation] Molecular Design of Amphiphilic Electron Shuttling Phospholipid Polymers for Inducing Apoptosis in Cancer Cells2018

    • Author(s)
      M. Kaneko, M. Ishikawa, K. Ishihara and S. Nakanishi
    • Organizer
      The 12th SPSJ International Polymer Conference
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] Induction of Apoptosis in Cancer Cells by Redox-active Phospholipid Polymers2018

    • Author(s)
      M. Kaneko, M. Ishikawa, K. Ishihara and S. Nakanishi
    • Organizer
      第28回日本MRS年次大会

URL: 

Published: 2019-12-27  

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