2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18J14984
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
Cong Bojie 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | Tumor progression / rab5 / polyploidy |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、申請者はがん抑制Hippo経路の転写共役因子Yki(哺乳類Yapホモログ)のターゲット遺伝子microRNA bantamが“非自律的増殖”と“自律的増殖”とをスイッチする「がん原性スイッチング機構」を制御する重要な因子であることを明らかにした。そして、Ykiのターゲット遺伝子microRNA bantam が「がん原性スイッチング機構」を制御する分子機構の全容を明らかにするために、microRNA bantamの下流で働く遺伝子を探索した。申請者はmicroRNA bantamの配列に基づいてデータベース“Target Scan Fly”により推定されている約90個遺伝子に対するRNAiをそれぞれrab5変異細胞にさせ、これによりrab5変異細胞が過剰に増殖させるRNAiを探索した。しかし、これらのRNAiはmicroRNA bantam のように、rab5変異細胞をがん化させることが出来なかった。さらに、申請者はEMS(化学変異誘導剤)また、CRISPR-Cas9 stocksを用いてランダムに大規模な遺伝学的スクリーニングを行った(合計3109系統)。その結果、microRNA bantam のように、rab5変異細胞をがん化させる遺伝子変異がなかった。以上の結果より、microRNA bantamは複数の遺伝子同時に制御することで、rab5変異細胞の“非自律的増殖”から“自律的増殖”へスイッチすることが分かった。そこで、「がん原性スイッチング機構」の詳細を探索するために、申請者は正常細胞、rab5変異細胞およびrab5 -/-+microRNA bantam細胞を組織から単離し、次世代mRNA-seq解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者はショウジョウバエrab5変異と協調して腫瘍化を引き起こす因子としてHippo経路の標的因子であるYkiを見出し、さらにその下流標的因子としてmicroRNA bantamを同定した。さらにbantamの標的遺伝子の中でrab5変異と協調して腫瘍化を引き起こすものを候補アプローチにより探索したが、同定することはできなかったが、この結果からmicroRNA bantamは複数の遺伝子同時に制御することで、rab5変異細胞の“非自律的増殖”から“自律的増殖”へスイッチすることが分かった。そこで、「がん原性スイッチング機構」の詳細を探索するために、申請者は正常細胞、rab5変異細胞およびrab5 -/-+microRNA bantam細胞を組織から単離し、次世代mRNA-seq解析を行った。そして、次世代mRNA-seq解析によりbantamの下流で機能する因子の網羅的探索を行い、多数の候補遺伝子を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
「がん原性スイッチング機構」の詳細を探索するために、申請者は正常細胞、rab5変異細胞およびrab5 -/-+microRNA bantam細胞を組織から単離し、次世代mRNA-seq解析を行った。rab5 -/-+microRNA bantam細胞はrab5変異細胞に比較すると、Eiger-JNK経路、JAK-STAT経路やHippo経路の変動が見られた。詳細について現在解析している。これからは、mRNA-seqの結果から、「がん原性スイッチング機構」の制御因子を同定し、分子機構の全容を明らかにしようと考えている。 また、同定した制御因子がrab5-/- 細胞以外の多倍体肥大化変異細胞においても同様の機構で働いているのかを、特に増殖能・浸潤転移能を獲得したscrib-/- /RasV12腫瘍細胞に着目しながら解析する。さらに、イヌ腎臓尿細管上皮細胞由来MDCK培養細胞を用いて、多倍体肥大化細胞の「がん原性スイッチング機構」の普遍性を明らかにする。
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