2019 Fiscal Year Annual Research Report
体内動態特性とリガンド活性を考慮した病態発症に関わる悪玉酸化コレステロールの同定
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18J14990
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
田中 悠介 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 酸化コレステロール / 脂肪肝 / 体内動態 |
Outline of Annual Research Achievements |
酸化コレステロールはコレステロールの酸化代謝物である。酸化コレステロールには、生体内の酵素反応により産生される内因性のものと食品の加熱調理や長期保存により産生される外因性のものが存在し、後者の摂取量は日本においても食生活の欧米化と相まって大きく増加している。酸化コレステロールの生理機能に関しては、酸化ストレス応答系や核内受容体を介した様々なシグナルカスケードを活性化することが報告されており、脂肪肝との関連も注目されている。一方で、体内動態制御機構に関する詳細はほとんど明らかとなっていない。そこで、酸化コレステロールの体内動態制御に関わりうる分子として、コレステロール輸送体であるNPC1L1に着目しつつ、①各酸化コレステロールの肝臓への蓄積性、②脂肪肝促進に関わるリガンド活性について、脂肪肝モデルマウスを用いて詳細を明らかにすることとした。脂肪肝モデルマウスを用いた検討の結果、NPC1L1による酸化コレステロールの肝臓への蓄積性は分子種によって異なることが明らかとなった。また、肝臓への蓄積が認められ、脂肪肝病態を促進する酸化コレステロール分子種として22R-ヒドロキシコレステロール(22R-OH)および25-ヒドロキシコレステロール(25-OH)が同定された。さらに、これら2種類の酸化コレステロールがヒト脂肪肝病態においても重要であることを確かめるために、脂肪肝患者の血漿検体を収集し、血中酸化コレステロール濃度の測定および解析を行った。その結果、22R-OHおよび25-OHの血中濃度と脂肪肝マーカーとの間には正の相関関係が見出され、その相関の強さはコレステロールや他の酸化コレステロールよりも強いことが明らかとなった。この研究により、22R-OHおよび25-OHは、NPC1L1の働きによって肝臓へ蓄積した後に、脂肪肝病態を促進する悪玉酸化コレステロールであることが示唆された。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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