2018 Fiscal Year Annual Research Report
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18J15278
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
原田 遼太郎 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 多重ゼータ値 / 多重ポリBernoulli数 / 関数体 / 正標数 / 周期 / tモチーフ / 線形独立性 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本学術振興会の若手研究者海外挑戦プロジェクトにより、昨年度10月から今年度5月まで国立清華大学のChieh-Yu Chang教授を訪問し長期的に研究交流を行った。 プロジェクト中の研究計画に基づきHartl-Kim氏らによって2015年に導入された、tモチーフに付随する局所シトゥカに対して定まるde Rham実現とクリスタリン実現の比較同型について研究を行った。現時点では、ある階数のCarlitzモチーフの場合では多重ポリログに近い形のLaurent級数が表れることが確認された。しかし、かなり複雑な多重級数であるため標数pの多重ポリログまたはその変種の線形結合で表せるか現在も継続して研究を行っている。 一方で標数pの多重ゼータ値の変種を新たに導入し、標数pにおける非自明性、積和公式及び双対tモチーフとの関係について結果が得られた。これらの結果から、Anderson-Brownawell-Papanikolas判定法を介してChang氏による2012年の線形独立性の結果における証明法を部分的に変更および適用し、直和予想の類似を解決している。またこの変種は標数pの多重ゼータ値の一般化であるため、これまで得られた結果はChang氏、Thakur氏による先行研究の拡張であるといえる。これらの結果について現在論文として執筆中である。 また、研究実施計画の一環であった標数pの多重ポリBernoulli数の導入および多重ゼータ値への応用について国際雑誌にて掲載が確定した。一方で同結果について日台合同研究集会および国内のいくつかの研究集会にて発表も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究中に得られた変種は標数pの多重ゼータ値を含んでおり、現在までの研究結果によりChang氏、Thakur氏による代数構造や独立性における先行研究の一般化に成功している。またv進多重ゼータ値の周期的解釈に関してはわずかだがある程度の進捗がみられた。未解明の部分があるものの、局所シトゥカを用いたtモチーフの種々の実現について理解が深まった。 研究全体におけるtモチーフおよび局所シトゥカの考察の中で標数pの数論における専門的手法の理解および習得を深める方向で研究が進んでおり、さらに一定の研究結果を得ているため進捗は順調であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
標数pの多重ゼータ値の変種について、三柴氏による代数的独立性の研究結果(2012, 2015)における手法を参考にし、同様の結果が得られるかをみる。また標数pのEisenstein級数についてもその一般化について研究を行う。これらは現在従事中の直和予想の類似への取り組みが終わり次第着手する予定である。 また、現在進行中のv進多重ゼータ値と周期の関係性について引き続き取り組む。当初の予定であった標数pの多重ゼータ値におけるHopf代数構造の解明にも挑戦する。
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Research Products
(5 results)