2018 Fiscal Year Annual Research Report
An empirical research on the relationship between servant leadership, employee satisfaction and customer satisfaction
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18J15342
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
木田 世界 横浜国立大学, 国際社会科学府, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 従業員満足 / 顧客満足 / 自動車販売店舗 / サーバント・リーダー / エンパワーメント |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度ではまず、調査対象となる自動車販売会社へのコンタクトと、先行研究・関連研究のレビューを行った。調査実施に先立った自動車販売会社の担当者との面談では、調査コンセプトへの賛同や協力への意欲を得られた。研究を通じて管理職に何が求められるかを明示することへ大きな期待が寄せられた。一方で計画していたアンケート形式による調査を行うことに関しては、店舗をとりまく環境は立地により大きく異なり説明変数と被説明変数の関係を計測するのは難しいではないかという意見を得た。 また、営業活動を対象とした調査の先行研究では、管理者のリーダーシップのみならず、リーダーシップの代替物・機能的等価物と考えられる諸要素、たとえば金銭的・非金銭的な報酬の配分を規定する制度や、本社と店舗の関係について研究が求められると考えられた。 以上のことから、初年度の研究としては、サーバント・リーダーシップの主要な構成概念の一つとして権限や報酬、情報に関するエンパワーメントに注目した。そして、店舗管理者のリーダーシップに加えて、販売会社が店舗の職員に対しどのような報酬制度を備えているのか、どのような権限を与えてどのように標準化しているのかにも注目することとした。また、アンケート調査よりもインタビューを中心としたケース・スタディを実施することとした。また、デンマークにおける複数企業の訪問やマネージャーとのディスカッションにおいて、従業員へのエンパワーメントによる民主的なマネジメントへの示唆を得た。 初年度の後半では、関東地方の自動車販売会社、中部地方の自動車販売会社、関西地方の自動車販売会社の計3社へのヒアリングを行った。ヒアリングの対象は計14名であり、合計時間は約10時間である。調査の対象者は、社長、本社部門長、店長、店舗内部門長、店舗内の営業職者、整備職者、事務・接客補助職者など多様な視点から情報の収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献調査に関しては計画していたペースで進められているが、更にレビューする範囲を拡大し隣接分野の類似研究も検討を行っていく必要がある。調査対象企業とは順調に交渉を続けている。方法としては調査者自身のアンケートよりも、対象企業が実施したアンケートとヒアリングによる事例調査を重視することとなった。中途成果報告として、学会発表を2回行っている。調査が進めばさらにまとまった報告をしたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
4~5月には、インタビューと従業員満足度、顧客満足度データの獲得に向けた準備を進める。インタビューの準備としては、昨年度まで進めてきた文献レビューの整理を行いい、自動車販売店舗における従業員満足度と顧客満足度の影響要因のリストマップを作るとともに、研究の焦点となる説明変数をその中に位置づけ、その測定方法(質問項目)を策定する。 従業員満足度、顧客満足度データの獲得に向けた準備として、昨年出版した論文を用いて過去までの研究の追跡調査を同社で行うとともに、同じ形式の調査を他の複数可の会社で行うべく交渉する。現在、首都圏で1社、中部圏1社、関西圏1社とコンタクトをとっており今後具体的な調査依頼を行う。また、県内の政令指定都市のディーラーにもコンタクトをとる。 6~7月には、従業員満足度・顧客満足度の分析とインタビューを行う。従業員満足度・顧客満足度の分析の手順としては、まず店舗全体を従業員満足度と顧客満足度によりプロットを行い、相関係数を分析する。またその中から事例店舗を複数選び、店長や副店長、工場長へヒアリングを行い満足度の変化の背景を伺う。 8月には、事例の量的な分析、質的な分析の結果を博士論文の項目として執筆する。なお、文献レビューや方法論は4月~7月に執筆する。その一部は6月の組織学会などの場で発表を行う。また、必要に応じて追加的なデータ収集を行う。 9月~12月には、執筆した論文へのフィードバックを指導教員や他の教員から受け、修正・再執筆を行う。また、必要に応じて追加的な分析を行う。 2020年1月には今年度までの研究の成果を博士論文として提出する。2月~3月にはその成果の一部を発展させ投稿論文または学会発表の原稿として執筆する。
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