2018 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of Adaptive Control Mechanism of Sit-to-Stand Task of Stroke Patients Based on Abnormal Muscle Synergy and Joint Torque
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18J15478
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
塙 大樹 埼玉県立大学, 保健医療福祉学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 脳卒中 / 立ち上がり動作 / 関節トルク / 機械的エネルギー / 筋シナジー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は正常な筋シナジーの獲得を促す運動療法発展のため,異常筋シナジーと関節トルクに基づく脳卒中患者立ち上がり動作の適応的制御機構解明を目的とする。当該年度は以下6点を実施した。 1)すでに立ち上がり動作に適応制御されたと考えられる慢性期脳卒中患者について、関節トルク制御の特徴を明らかにした。全身の中でも腰関節トルクが減少した点と、関連した体幹運動学の特異性を邦科学誌に報告した。健常成人の体幹運動学が受動的ではなく能動的制御の結果である点も邦科学学会に報告した。 2)この特徴を呈する原因についてエナージェティクスの視点から取り組んだ。慢性期脳卒中患者において腰関節を構成する胸郭と骨盤間の機械的エネルギーが健常成人同様に効率よく伝達されていることを明らかにし、英科学学会と邦科学学会に報告した。 3)上記した腰関節における機械的エネルギーの伝達効率について、まだ動作に対して適応制御されていない急性期脳卒中患者を対象に検証した。急性期脳卒中患者では腰関節における機械的エネルギーの伝達効率が低下し、骨盤の運動エネルギーが減少していたことを英科学誌と邦科学学会に報告した。 4)上記した腰関節以外にも、離殿に対して機械的エネルギーを提供する体節がないか探索した。健常成人では離殿までに大腿並進から下腿回転へ、その後大腿回転へ三次元的に機械的エネルギーが流入出することを明らかにし、邦科学学会に報告した。また、この時大腿並進が下腿回転よりも先に開始することに着目し、健常成人と脳卒中患者の運動開始順序を英科学学会に報告した。 5)上記の機械的エネルギーを体節へ供給する源となる筋活動が脳卒中の適応過程でどのように変化するか検証した。急性期では筋活動の欠損、慢性期では筋活動の異常同期が起こることを、機能的筋活動グループである“筋シナジー”の視点から明らかにし邦科学学会に報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は「慢性期脳卒中患者における立ち上がり動作時関節トルクの特徴」「慢性期脳卒中患者における離殿への機械的エネルギーの保存」「急性期脳卒中患者における機械的エネルギー損失と体幹制御障害」「離殿に係わる機械的エネルギー源」「急性期から慢性期への適応過程における筋シナジーの相違」と言う5種の新規的知見を提供できた。 急性期から慢性期脳卒中患者と言う幅広い対象に対する実験研究を行うことが出来た点、研究課題に沿って脳卒中による運動麻痺がある中でどのように日常生活動作に適応していくかの一端を明らかに出来た点から、概ね順調に研究を進展できたと考える。 得られた知見も積極的に公表し、掲載学術誌として英科学誌「Advanced Biomedical Engineering」と邦科学誌「理学療法-臨床・教育・研究-」の2件、発表学会として英科学学会「12th World Congress of the International Society of Physical and Rehabilitation Medicine」「Neuroscience 2018」の2件、邦科学学会の5件が存在する。 次年度に向け、立ち上がり動作中の離殿に対する関節トルク補助機器の検証も進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度明らかにした筋活動および結果発生する機械的エネルギーの特徴から、この伝達効率を維持するための関節トルク補助機器の開発に取り組んでいる。本年度までに健常成人と急性期脳卒中患者数例へ機器を適用し予備実験を行い、解析のためのプログラムを確立した。次年度上半期には、急性期脳卒中患者10名に対し機器を利用した立ち上がり動作実験を満了する。途中経過を学会へ投稿後、下半期には論文執筆を済ませ、投稿する。 併せて、本年度明らかに出来た新規的知見を統合することで、慢性期脳卒中患者における立ち上がり動作への代償制御への理解を更に深化させ論文投稿する。これにより、慢性期脳卒中患者の代償制御機構の視点からも、急性期脳卒中患者の関節トルク補助機器の効果メカニズムの解明に迫る。
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Research Products
(9 results)