2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18J15493
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
小林 大気 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 脚移動ロボット / 歩行計画 / 脚配置計画 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,脚移動ロボットの歩行動作の計画において,複雑な環境・地形に適応可能であり,かつ歩行移動について厳密に最適化された脚配置および歩容軌道をリアルタイムで計画する手法の開発を目的とする.本研究では,脚配置の遷移を運動学モデルで表現し計画問題を逆運動学問題へ帰着させ,また機構的制約や地形との接触を制約条件としてこれを非線形最適化手法を用いて解くことにより歩行計画を行う,モデルベースの計画手法の研究・開発を行う.モデルベースの計画手法には,段差や障害物などとの接触・干渉の考慮が不十分であり,適用可能な環境が限定的である,また脚配置のみのモデルを扱っており脚軌道を含めた歩容全体の最適化ができていないといった課題が残されている. そこで,まず非線形最適化問題の求解計算手法の改善に取り組んだ.大域的もしくは局所的最適解への収束,および計算の超一次収束が保証されている非単調逐次二次計画手法への変更を行った.これにより,計算過程での計算の発散などにより解が得られない問題は解消できたが,得られる解のほとんどが段差などの地形を踏破できない局所的最適解であり,実環境として想定される人工物で構成される環境での運用に十分な性能には至らなかった. 今後は,地形形状を複数の凸領域平面への分割して定式化に利用する手法や,地形形状への適応に強みを持つグラフ探索を用いた計画手法との組み合わせにより問題を解決する手法の開発を行う.また,計画当初に予定していた脚配置計画と脚軌道・重心軌道の計画とを統一的に扱うモデルの構築,およびこれに伴う問題の次元数の増加に対応可能な非線形最適化手法の適用方法の検討を進める.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度は,前項で示した課題の解決に向けて,非線形最適化問題の求解計算手法の改善に取り組んだ.具体的には,目標到達までの距離や歩数の増大,障害物の配置や地形形状の複雑さなどに依って計算性能が大きく落ち解が得られないという問題があったため.大域的もしくは局所的最適解への収束,および計算の超一次収束が保証されている非単調逐次二次計画手法への変更を行った.これにより,計算過程での計算の発散などにより解が得られない問題は解消できたが,得られる解は段差や階段などの不連続な形状変化をする領域付近で留まってしまい地形を踏破しない局所解がほとんどであり,実環境として想定される人工物で構成される環境での運用に十分な性能には至らなかった.これに対処するため,このような領域への進入を防ぐためのコスト評価を加えて最適化する手法や,地形接地に関する制約を違反し続ける箇所に対して部分的にランダムサンプリングによる探索を行う手法などを試したが、解決に至らなかった. また,本研究課題と並行して,多脚移動ロボットの歩行制御システムに関する複数の研究についても研究・開発および対外成果発表を行っている.六脚移動ロボットのトライポッド歩容における移動効率改善のための制御システムの開発や,本研究で提案する手法の比較対象である,グラフ探索を用いて環境・地形面上の脚配置を探索する探索ベース手法を用いた多脚移動ロボットの遠隔操縦システムの研究・開発に取り組んだ.後者については国内学会にて発表を行っている. なお,これらの取り組みにおいて行った,センサ系構築などのハードウェア開発,歩脚配置計画システムと連携可能な行制御システムの開発は,本研究課題における実機運用のための研究・開発を兼ねており,今後の実験・評価に利用する.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度においては,まずは前年度で残された課題を解決することを目指す.地形形状を計測して得られる3次元データに対して複数の凸領域平面への分割して定式化 に利用する手法を採用することや,傾きの強さや起伏の変化の強さから計算されるコスト表現を利用して脚配置を探索する探索ベースの脚配置計画手法と,提案手法であるモデルベースの手法との組み合わせにより解決する手法の開発などを検討している. また,前項で述べた六脚移動ロボットの歩行制御システム,環境・地形計測のためのセンサ系と操縦インターフェース,脚配置計画システムと歩行制御システムとを連携させた統合的な制御システムを利用して,実機実験によるモデルベースの計画手法の評価を行う. これらが達成でき次第,当初計画していた,脚軌道を含めた歩容全体の最適化が可能な計画手法の開発に取り組む.脚配置計画と脚軌道・重心軌道の計画とを統一的に扱うモデルを構築し.モデルベースの最適化計算の枠組みでこれらを同時に計画することで,歩行動作全体を最適化した脚配置の計画を可能とする.また,歩容全体のモデルへの拡張により問題の次元数が増加し,従来の逐次二次計画手法では実時間での計算が困難になると予想されるため,非線形モデル予測制御などで用いられる非線形最適化の手法を適用するための検討を行う.
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Research Products
(1 results)