2019 Fiscal Year Annual Research Report
現代タタール・ディアスポラにおける言語選択と言語政策の関係性に関する総合的研究
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18J20041
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
櫻間 瑞希 筑波大学, 人文社会科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | タタール / ディアスポラ / 言語継承 / 言語状況 / タタール語 / 中央アジア / タタール・ディアスポラ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、言語政策をはじめとする諸政策が民族的マイノリティの民族語継承に対してどのような影響を及ぼし得るかを、タタール・ディアスポラの事例を通じて考察することにある。具体的には、中央アジアのタタールがどのように諸政策の影響を受け、民族語であるタタール語を継承してきたか、あるいは継承してこなかったかを明らかにすることを最大の目的とする。これらの目的を踏まえ、2年目となる2019年度は主に下記に示す3点の作業を行った。 ①2018年度にロシア連邦タタールスタン共和国とウズベキスタン共和国で収集した文献資料と、政策の決定および実行にかかわる人物への聞き取り調査の結果の整理と分析を行った。これらの成果は、2020年2月に中央民族大学(中華人民共和国)にて開催予定だった『第6回移民研究フォーラム』での口述発表を予定していたが、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大に伴い中止となった。 ②2018年度に現地調査を実施したカザフスタン共和国での調査結果をふまえた分析は、2019年6月に開催された『日本言語政策学会第21回研究大会』にてポスター形式で発表された。当該発表は研究成果の新規性とインパクトを評価され『第 21 回研究大会発表賞』(2020年3月9日公表)を受賞している。 ③タジキスタン共和国・ドゥシャンベ市に居住する76名の調査協力者に対し、質問票を用いた聞き取り調査とタタール語試験をオンラインで実施した(2018年12月から2019年9月)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記「研究実績の概要」にも記したように、2019年度の研究の実施および研究成果の公表はともにおおむね順調に進展したと評価できるものの、研究代表者の一時的な病気療養と、その後のCOVID-19の世界的な感染の拡大による出入国の制限に伴い、複数の研究計画に大幅な変更が生じた。 具体的には、2020年2月に予定していた『第6回移民研究フォーラム』(中央民族大学・中華人民共和国)における研究成果の発表、同年2月中旬から3月上旬に予定していたウズベキスタン共和国およびカザフスタン共和国における補完調査、本来は2019年8月に実施予定だったものの2020年3月下旬に延期したフィンランド共和国における資料調査はいずれも延期または中止となった。2020年3月時点で各国では入国制限・入国後行動制限が実施されており、終息の見通しも立たない状況にあったことから、これらの計画の具体的な延期日ないし取りやめ・実施方法の変更等の決定は2020年度に判断することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、主に下記に示す2点に取り組む。 ①上記「現在までの進捗状況」に記述した理由から、2019年度予算は2020年度に繰越手続きを行い、これらの予算からウズベキスタンおよびカザフスタンにおける補完調査、フィンランドにおける資料調査を実施する予定とした。(2020年度も世界的な感染拡大状況は終息の兆しが見られず、継続的な出入国の制限がとられたことから物理的に渡航しての対面調査は実施できなかった。結果としてオンライン調査を実施することにした。詳細は2020年度の報告を参照されたい。) ②本研究課題の遂行によって得られた成果を博士論文としてまとめる。
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Research Products
(1 results)