2019 Fiscal Year Annual Research Report
Observational Studies of Solar-type Stars toward an Universal Understanding of Solar and Stellar Magnetic Activity
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18J20048
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
行方 宏介 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 恒星 / 太陽 / 黒点 / フレア / Kepler衛星 / せいめい望遠鏡 / TESS衛星 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、太陽・活動的な恒星の観測研究を通して、太陽・恒星のフレア・黒点などの磁気活動性の統一的理解の解明へ挑むことを目指している。2019年度は特に以下の2点について、研究実績が得られている。(A)惑星トランジットを示す太陽類似星「Kepler-17」を解析することで、空間分解された恒星黒点の面積の時間変化などを推定する研究を前年度に継続して行った。これにより、空間分解された黒点は、実は太陽黒点と同様のメカニズムで発生しているということを観測的に証明した。これまで、恒星の黒点は空間分解せずに議論されてきており、この研究によってさらに増強されたという点で、意義深い。また、恒星黒点の継続時間はだいたい100-200日程度であり、極端現象が惑星間空間に影響を与える期間に制限を与えることができたという意味でも重要である。この成果を、国際学会で2回発表し、国際学会誌において論文として出版した。(B)恒星フレアのデータ収集と、その解釈のための数値計算コードの使用方法を習得し、観測結果を再現する研究を行なった。このために、アメリカのコロラド大学に長期滞在して、数値計算の手法を身につけた。また、京都大学せいめい望遠鏡での観測も継続して行い、合計30例ほどの恒星フレアを検出することに成功した。これにより、超巨大フレアの際には、Balmer線のスペクトル幅が大きく広がっていること、そしてそれが時間変化していることを発見した。数値計算を用いて、その超巨大フレアを引き起こすために必要なエネルギー注入量などを計算し、エネルギー注入量に観測的制限を与えることができ、恒星フレアの発生過程・放射機構に制限を与えた。この成果を、論文として投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、昨年度からの継続で、ケプラー宇宙望遠鏡の惑星トランジット観測データから、恒星の巨大黒点の時間変化の推定を行う研究を、ワシントン大学と国際共同で行った。この研究を通して、(1)恒星の巨大黒点の生成・消滅率は、太陽黒点の物理則で説明可能であること、そして、(2)恒星表面には想像以上に多くの黒点が分布しているという結果を得た。これにより、太陽によく似た星で出ている巨大な黒点は、太陽の小規模黒点と同じメカニズムで形成されているということを観測的に証明した。この成果は2020年3月に、国際学会誌the Astrophysical Journalに論文が出版された。また、私はこの成果について、アメリカ天文学会やSHINE conferenceなどの国際学会でも口頭発表し、研究成果のアウトプットも精力的に行ってきた。 次に、京都大学岡山せいめい望遠鏡、X線/UV衛星SWIFT、西はりま天文台、OISTER(光赤外大学間連携)等に観測提案書を提出し、全て受理された。これにより、本年度は合計20夜程度の観測時間で恒星フレアのモニタ観測を実施した。結果、30個程度の恒星フレアを検出することに成功している。この恒星フレアの観測を説明するために、アメリカ・コロラド大学に長期滞在し、フレアの複写輸送流体の数値計算を行なった。これにより、恒星フレアのバルマー線スペクトルの観測をよく再現したほか、どれくらいのエネルギーが注入されているのか?という点に関して、重要な示唆を得た。これに関して、2020年3月に論文を投稿した。さらに、前年度に引き続き、恒星で起きている巨大なフレア・黒点が、実際に太陽でも起きるのか?という疑問に応えるべく、過去の歴史文献を用いて巨大フレア・黒点の痕跡を探る研究も、大阪大学の早川尚志氏と共同で行なった。 これらにより、概ね順調に研究は進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
(A)これまで行なってきた恒星黒点の面積の時間変化の観測的研究と、数値計算を比較する研究を、共同研究者の鳥海森氏(JAXA)と行う。この研究を論文にまとめるとともに、前年度に出版した論文も含め、国際会議で発表を積極的に行なっていく。 (B)前年度に引き続き、(i)特に恒星フレアのデータ収集を行い、(ii)その解釈のために数値計算コードを使用する。(i)では、京都大学せいめい望遠鏡の低分散分光器KOOLS-IFUを中心にして観測を行う。もし観測提案が採択された場合は、衛星や他の地上望遠鏡にも観測提案を行い、場合によっては望遠鏡の観測時間を科研費で購入する。スーパーフレアを起こす星を数週間に渡り分光観測し、スーパーフレアの放射スペクトルを得る。本年度は、特に活動度が高いM型フレア星Ev Lacの観測を行う。また、4月にはTESS衛星とせいめい望遠鏡で、太陽型星のフレア観測にも挑戦する。この際、特にせいめい望遠鏡の大口径を生かした、短いタイムスケールでの変動を検出し、多波長で比較する。また、せいめい望遠鏡で検出された恒星フレアのモデリングも行う。ここで、これまではM型星という温度が低い星の計算ばかり行なってきたが、太陽のような温度が高い星の数値計算にも挑戦する。 前年度に引き続き、多くの国内・国際学会で研究成果を積極的に発表する。また、今年度は全年度の最終年であり、集大成として博士論文を執筆する。そのために、これまで得られてきた成果を、国際学会誌の論文として出版することを行う予定である。
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[Journal Article] Temporal Evolution of Spatially Resolved Individual Star Spots on a Planet-hosting Solar-type Star: Kepler-172020
Author(s)
Namekata, Kosuke; Davenport, James R. A.; Morris, Brett M.; Hawley, Suzanne L.; Maehara, Hiroyuki; Notsu, Yuta; Toriumi, Shin; Ikuta, Kai; Notsu, Shota; Honda, Satoshi; Nogami, Daisaku; Shibata, Kazunari
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Journal Title
The Astrophysical Journal
Volume: 891
Pages: 103-103
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Impact of Stellar Superflares on Planetary Habitability2019
Author(s)
Yamashiki, Yosuke A.; Maehara, Hiroyuki; Airapetian, Vladimir; Notsu, Yuta; Sato, Tatsuhiko; Notsu, Shota; Kuroki, Ryusuke; Murashima, Keiya; Sato, Hiroaki; Namekata, Kosuke; Sasaki, Takanori; Scott, Thomas B.; Bando, Hina; Nashimoto, Subaru; Takagi, Fuka; Ling, Cassandra; Nogami, Daisaku; Shibata, Kazunari
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Journal Title
The Astrophysical Journal
Volume: 881
Pages: 114-137
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Do Kepler Superflare Stars Really Include Slowly Rotating Sun-like Stars?-Results Using APO 3.5 m Telescope Spectroscopic Observations and Gaia-DR2 Data-2019
Author(s)
Notsu, Yuta; Maehara, Hiroyuki; Honda, Satoshi; Hawley, Suzanne L.; Davenport, James R. A.; Namekata, Kosuke; Notsu, Shota; Ikuta, Kai; Nogami, Daisaku; Shibata, Kazunari
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Journal Title
The Astrophysical Journal
Volume: 876
Pages: 58-96
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] The extreme space weather event in September 19092019
Author(s)
Hayakawa, Hisashi; Ebihara, Yusuke; Cliver, Edward W.; Hattori, Kentaro; Toriumi, Shin; Love, Jeffrey J.; Umemura, Norio; Namekata, Kosuke; Sakaue, Takahito; Takahashi, Takuya; Shibata, Kazunari
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Journal Title
Monthly Notices of the Royal Astronomical Society
Volume: 484
Pages: 4083-4099
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Presentation] Namekata, Kosuke; Maehara, H.; Davenport, J.; Morris, B.; Hawley, S.; Notsu, Y.; Toriumi, S.; Hayakawa, H.; Honda, S.; Notsu, S.; Ikuta, K.; Nogami, D.; Shibata, K.2019
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