2019 Fiscal Year Annual Research Report
多偏波干渉地上型合成開口レーダを用いた植生下における高精度地表変動解析手法の開発
Project/Area Number |
18J20104
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
泉 佑太 東北大学, 環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | GB-SAR / 干渉SAR / 環境計測 / 大気位相誤差 / レーダポラリメトリ |
Outline of Annual Research Achievements |
現在,我々の研究室では社会実装として,熊本地震で大規模な地すべりが発生した熊本県南阿蘇村の斜面に地上設置型合成開口レーダ(GB-SAR)を設置し,2017年から現在まで連続して斜面の環境計測を行っており,変位量に基づく早期警戒情報を提供している。そこで、本研究はGB-SARの社会実装で、想定される、または発生する問題の課題解決を目的としている。研究開始時の目的は植生領域への観測範囲の拡大であった。これに加え、研究を進めるにあたり、変位観測を行う際に、大気屈折率の変化がマイクロ波の位相遅延として現れ、結果に大きな誤差を生むことが明らかとなった。そのため、本問題の解決を行うことは当初の目的を達成するために必要不可欠であり、本研究では、まず、大気の屈折率から生じる誤差の補正について検討することから始めた。以上から、現在までの実績として大きく、(1)大気補正アルゴリズムの開発、(2)植生下を含む低コヒーレンス域における高精度変位観測、の二つのパートに分けられる。(1)について、山間部において大気の屈折率はおおよそ標高に依存して分布するが,斜面に設置した気象センサとGB-SARデータから、山岳地帯の局地風が原因で全体として不均一な屈折率分布となることを明らかにした。この不均一大気屈折率による誤差を補正するため、現在までに二種のアルゴリズムを提案している。これら提案手法により、現在準リアルタイムで正確な山間部の計測が可能となっている。(2)について、レーダポラリメトリ技術を適用することによってコヒーレンス(干渉度)を最大化するアルゴリズムを開発し、従来手法よりも多くの安定散乱点を得ることを示した。本アルゴリズムにより、従来は低コヒーレンスが原因で観測できなかった地点においても干渉計測が可能となり、観測範囲の拡大を結果より示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大気誤差を補正するアルゴリズムを独自に提案し、現在より高精度な変位計測が可能となっている。これらデータ補正の基で、レーダポラリメトリによる高精度変位計測フレームワークを確立し、計測範囲拡大を達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
開発した高精度変位計測フレームワークを現在までに取得された長期のGB-SARデータに適用し、地滑り斜面における変位マップを作成する。更に、現場に設置した変位計測機器と比較することで、GB-SARによる変位計測結果を検証し、有用性を考察する。
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Research Products
(8 results)