2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of an Electron-Tracking Compton Camera for the galactic diffuse gamma-ray observation
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18J20107
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 優太 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | MeVガンマ線天文学 / 電子飛跡検出型コンプトンカメラ / 気球観測実験 / SMILE / 宇宙拡散ガンマ線 / 装置開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
数百keVから数十MeVまでのMeVガンマ線帯域では原子核の崩壊によって放射される核ガンマ線の帯域であり、宇宙での元素合成についての情報を直接取得できる。 昨年度は次世代MeVガンマ線望遠鏡である電子飛跡検出型コンプトンカメラ(ETCC)の宇宙環境での撮像分光性能実証を目的とした豪州気球観測実験:SMILE-2+を実施した。ETCCはコンプトン散乱を再構成することで撮像分光を行う検出器であり、散乱体のガス飛跡検出器と吸収体のピクセルシンチレータアレイ(PSA)から成る。SMILE-2+ではETCCの広帯域化・有効面積の拡大・角度分解能の改善を目的として、反跳電子がガス飛跡検出器から脱出した事象(電子脱出事象)を捉えるために従来ガス容器の外部に設置していたPSAを内部に配置変更した。これにより脱出した電子のエネルギーをPSAで測定可能になった一方で、PSAが飛跡検出器に隣接したことで飛跡検出器内部の電場構造が歪む問題が発生していた。 電場歪み補正では検出器内部の電場構造の解析と電子のドリフト速度計算を組み合わせ、電子飛跡の歪みの補正を行い、飛跡検出器外縁部での位置ずれをPSAの位置分解能以下に抑えることができた。地上試験にて1275 keVに対して点源広がり関数のHPRが10.6 deg、エネルギー分解能が11.7%(FWHM)を達成できた。 フライトデータでは銀河中心領域に同期してガンマ線候補事象の計数率が平常時の倍となる大きな増加が確認できた。既存の観測では銀河面からの放射が多いことで知られる26Alからの1.8 MeV線ですら雑音が信号の10倍近く存在しており、これまでのMeVガンマ線観測は雑音過多が常であった。ETCCにより世界で初めて銀河中心領域の信号優位なMeVガンマ線観測が実現された意義は大きい
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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