2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18J20143
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 優実子 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 1細胞解析 / 細胞回収 / 網羅的遺伝子発現解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで一つの種類とされてきた細胞もひとつひとつ観察するとその活性に多様性があることが知られてきている。1細胞ごとに細胞を観察し、細胞集団中の希少な活性を持つ細胞を見つけ出して回収することで、網羅的遺伝子発現情報の取得などの細胞破壊を必要とするような解析を行うことができる。 先行研究により、ある希少な免疫細胞の刺激応答において、細胞の多様性がある一瞬における活性のレベルだけでなく、活性化のタイミングにも存在することが明らかとなった。ところが、回収したいタイミングが細胞ごとに異なっているような状況で狙った細胞を回収する技術はこれまで存在せず、免疫細胞の活性化の初期における網羅的遺伝子発現情報の取得は困難であった。そこで本研究では、細胞活性の指標が現れた直後に細胞を回収する技術を開発し、活性化直後の免疫細胞の遺伝子発現パターンを解明することを目指した。 今年度は免疫細胞の活性を実時間観察し、活性化の指標が現れてから30分後、60分後、90分後の細胞を逐次回収するシステムを開発した。また、本手法で回収された1細胞から網羅的遺伝子発現情報を取得するプロトコールを確立し、実際に活性化直後の細胞の情報を取得した。さらに、刺激前の細胞や刺激から十分時間のたった細胞の網羅情報も取得し、活性化直後の細胞の情報と比較することで、活性化直後でのみ特異的に発現している遺伝子群を取得することに成功した。これらの結果は、これまで解析が難しく不明な点が多かったこの免疫細胞の活性化の過程の解明に寄与することが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書に記載した本年度までに達成すべき事項をおおむね達成しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は取得された網羅的遺伝子発現情報の解析方法の確立に取り組む。また、今回回収した免疫細胞以外の細胞を題材とし、本回収法を用いて過渡的に発現する遺伝子の同定を試みる。
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