2018 Fiscal Year Annual Research Report
自己免疫疾患における核内抗原に対する自己抗体産生機構の解明
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18J20300
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
迫口 瑛史 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | MHC class II / 自己抗原 / 全身性強皮症 |
Outline of Annual Research Achievements |
全身性強皮症では抗トポイソメラーゼI抗体や抗セントロメア抗体などの自己の核内抗原に対する抗体が産生されるが、その抗核抗体産生機序は未だに不明である。全身性強皮症をはじめとする多くの自己免疫疾患のゲノムワイド解析においてMHC class IIが最も強い疾患感受性遺伝子であることが明らかとなっており、本研究室の研究により、関節リウマチや抗リン脂質抗体症候群などの自己免疫疾患では疾患感受性のHLA class II alleleと自己抗原が細胞表面で複合体を形成することにより自己抗体産生が誘導される可能性が明らかとなってきた。そこで、全身性強皮症においてもHLA class IIと核内抗原が何らかの環境下で複合体を形成し、細胞表面にその複合体が輸送されることにより抗核抗体が産生されるのではないかと考えた。 現在までの研究で、核内抗原であるトポイソメラーゼIが疾患感受性の特定のHLA class II分子と結合して細胞表面に輸送されることを確認している。また、細胞分画を細かく分けて解析することにより、核内抗原が小胞体内でMHC class IIと結合していることも分かった。一般的にトポイソメラーゼIは核内に限局しているため、核内から小胞体へのトポイソメラーゼIの輸送機構を明らかにするために検討を行ったが、既知のシャペロン分子やオートファジーの影響だけではトポイソメラーゼIは小胞体内へ輸送されないことが明らかとなった。新たな核内抗原の核外輸送経路を明らかにするため、細胞分画を細かく分けた上でトポイソメラーゼIを免疫沈降して質量分析を行うことで、トポイソメラーゼ Iがこれまで知られていなかったタンパク質と核外で結合していることが明らかとなり、現在それらのタンパク質との相互作用でトポイソメラーゼIやその他の抗核抗体のターゲットとなる核内抗原がどのような動態をとるのかを確認中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに核内抗原の核外輸送に関して、既知のシャペロン分子や選択的オートファジーの関与を網羅的に検討し、既知の現象の関与を否定した上で質量分析において新たなシャペロン分子の同定に至り、また新たな自己免疫疾患モデルマウスの作成も同時並行で行うことが出来ているため、研究課題の進捗状況はおおむね良好であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今までの研究で、核内抗原の核外輸送に関わる新たな分子の同定を行った。今後の研究では同定したシャペロン分子と核内抗原との結合の詳細な分子機構の解明、シャペロン分子のトランスジェニックマウスの解析、また実際の全身性強皮症患者組織でのシャペロン分子の発現様式の検討などを行っていく予定である。
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Research Products
(4 results)