2018 Fiscal Year Annual Research Report
単一画像に基づく高ダイナミックレンジ画像の生成法に関する研究
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18J20326
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
木下 裕磨 首都大学東京, システムデザイン研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 高ダイナミックレンジ画像 / 逆トーンマッピング / 深層学習 / カメラ応答関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,平成30年度から3年間の計画であり,初年度は主に,(1)擬似的多重露出画像生成法の開発, (2)研究動向調査および実験環境の構築, (3)High Dynamic Range (HDR) 画像データベースの構築, (4)単一画像に基づくHDR画像生成法の開発を実施した. (1)では,画像中の各画素の明るさに基づき領域分割を行う,擬似的多重露出画像生成法を開発した.今回開発した手法では,明るさ情報に基づく領域分割を行うことによって,各多重露出画像について適切な露出値を自動で決定することができる.この擬似的多重露出画像生成法の有効性は,HDR画像から作成された人工データおよびカメラで撮影された実データの双方を用いた実験により確認された.これらの成果をとりまとめた論文は,IEEE Transactions on Image Processing などの論文誌において,3編発表した. (2)では,単一画像に基づくHDR画像生成法に関する世界の最新の研究動向を調査した.この調査により,深層学習に基づくHDR画像生成法が単一画像からのHDR画像生成へ有効であることが明らかとなった.このため,深層学習に基づく世界最先端の手法の実行環境を構築した.また,深層ニューラルネットワークの学習および性能評価のため,(3)HDR画像データベースの構築も同時に実施した. (4)では,(2)での調査結果に基づき,単一画像に基づくHDR生成法の開発を行った.当初の計画では,単一画像から擬似的多重露出画像を生成しそれらを合成する方式を開発する予定であった.しかしながら,(2)での調査により,この方式を用いた手法は既に提案されていることが判明した.そこで,計画を変更し,深層学習を用いたHDR画像生成法の精度向上を目的に研究を遂行した.現在は,この成果を発表するための準備を行っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では,初年度に,(1)単一画像に基づくHDR画像生成法の開発,(2)擬似的多重露出画像生成に適した撮影条件の考察,(3)研究動向調査及び実験環境の構築を行い,第2年度に,(4)単一画像を用いた Camera Responce Function (CRF) 推定法の開発,(5)研究成果の広報を行う予定であった.(1),(2),および(3)については,初年度で期待通りの成果が得られた.加えて,単一画像からのHDR画像生成に深層学習を適用することにより,CRF推定およびHDR画像生成が同時に実行可能となった.したがって,2年目に行う計画であったCRF推定法の開発を,初年度のうちに進展させることができた. また,研究成果の広報に関しても,初年度に多くの発表をすることができた.具体的には,3編の論文,3件の国際学会発表,2件の学会発表を通して本研究の成果を公開した.特に,当該分野における世界トップジャーナルである IEEE Transactions on Image Processing において本研究の成果を記した論文の掲載が決定したことは,本研究の広報に大きく貢献するものと考えられる. 以上のことから,本研究は,当初の計画以上に進展しているものと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
初年度には,単一画像に基づくHDR画像生成法を深層学習を利用して開発した.開発した手法では,CRFの推定および逆CRFの適用を深層学習により同時に実行することができる.いくつかの予備実験により,本手法は,世界最先端のHDR画像生成法と比較して高い性能を持つことが明らかとなっている.一方,単一画像に基づくHDR画像生成法には,未だ2つの課題がある.具体的には,高精度なCRF推定の実現,およびセンサ飽和による白飛びの復元である. 第2年度には,これら2つの課題を解決することを目的とし,初年度に開発した単一画像に基づくHDR画像生成法の改良を行う.また,本手法の有効性を示すためには,最先端のHDR画像生成法との比較評価が必須となる.そのため,第2年度も引き続き,各分野のトップ研究者が集う国際会議の情報を逐次調査し,世界の最新のHDR画像生成法のサーベイを行う.加えて,研究動向調査大規模な画像データベースを用いた実験により,本手法と他のHDR画像生成法がそれぞれ生成するHDR画像の品質に関して比較評価を行い,その長所と短所を明らかにする.これらの成果は,随時学会発表・論文投稿などを通じて広く社会に公開する予定である.
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Research Products
(8 results)