2019 Fiscal Year Annual Research Report
Policy Transfer Influenced by Business Operations and Market -A Case Study of Conflict Minerals Regulation in African Great Lakes Region-
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18J20347
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
猪口 絢子 大阪大学, 国際公共政策研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 規範 / グローバル・ガバナンス / ビジネスと人権 / 紛争鉱物 |
Outline of Annual Research Achievements |
二年目である本年度、前期は前年度から引き続きルワンダにてフィールド調査を行い、後期はスイスの国際開発研究大学院(IHEID)グローバル・ガバナンス・センターにて客員研究員として滞在し研究を進めた。 フィールド調査では、ルワンダ政府のルワンダ鉱山・石油・ガス委員会の協力を得て、紛争鉱物規制が導入される直前の2008年ごろから現在に至るまで、規制に関して重要な役職を担った職員や旧職員に会い、経緯や現状の課題などについて話を聞くことができた。また地方支部の協力を得て、国内資本と国外資本の鉱山を複数視察し、規制の現状を観察すると同時に、採掘業者社員に話を聞くことができた。鉱物認証に関わる複数の第3者機関や現地鉱業組合を訪問し、話を聞くことができた。また、国会職員と知り合うことができ、紛争鉱物規制に関する国会議事録や委員会議事録の収集に成功した。 スイスにおける客員滞在では、理論の教員陣だけでなく、ILO職員や政府使節としてビジネスと人権の制度設計に関わってきた研究者らと知り合うことができた。豊富な図書資料とデータベースを利用し、研究に関する文献の収集も行った。コロナウイルスの流行のために途中から中止されてしまったが、国連人権理事会や条約委員会審査の会期中であったため、研究に関係する内容について傍聴し、情報収集を行った。 この間、前年度の成果を二つの国際学会で報告した。また今年度前期は、紛争鉱物規制が企業に拡散した仕組みをゲーム理論の文脈で説明しようとペーパーを執筆し、国内学会報告を行ったが、規制に従うことによる褒賞について十分に説明しきれなかったために、より制裁性に注目すべきだと助言を受けた。これにより、今年度後期は制裁研究の側面から紛争鉱物規制の広がりを分析し、共著と国際学会報告(ただしCovid-19の流行で中止)の機会に繋げた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
三年間に予定していた在外研究の全てをほぼ終了させることができた。論文執筆に必要な資料収集はほぼ済ませることができた。ただ論文の投稿がやや遅れており、翌年度前期に提出したいと思う。またコロナウイルスの流行で、3月に参加予定であった学会が中止になったほか、2020年3月中旬から5月末までIHEIDが閉鎖され、ジュネーブ近郊での国際会議やセミナー等も中止となり、情報取集やネットワーキングは予定通り果たせなかった。その分、研究に関連するwebinarに積極的に参加するなどして、補おうと努めた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はゲーム理論と制裁研究の二側面から問いへの回答に努めたが、今後は一度フィールド調査の成果に立ち返り分析を進め、論文にまとめたいと思う。フィールド調査を通じて発見した、業界団体による追跡・認証制度の形成を経て業界団体が地元政府への影響力を強めたこと、単一の追跡・認証制度が市場を独占したことで様々な弊害がでていることなどの事実について、その理由を単なる企業や業界の意思の問題ではなく、構造の問題として説明したい。
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