2019 Fiscal Year Annual Research Report
地理的・社会的近接性を考慮した企業間ネットワークの計量分析
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18J20392
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
高野 佳佑 筑波大学, システム情報工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 企業間ネットワーク / 地域経済 / 多角化戦略 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,昨年度までの予備的分析の結果を踏まえ,より精緻な実証分析手法に基づく本格的な分析へと着手した.加えて,実証分析結果に対する,ヒアリングなどを通じて得られた定性的なデータに基づく裏付けや現場で起きている実態との整合性の確認にも並行して取り組んだ.更には,当初設定し取り組んできた個別研究課題の派生として着想を得たいくつかの研究課題について,その予備分析に着手した. 災害リスク認知が取引先の集中・分散に与える影響を分析する1つ目の個別研究課題については,昨年度行った matching double differences (MDD) による分析に加えて,matching triple differences (MTD) による追加分析を行うことで,より頑健な分析結果を得ることを試みた.それら分析の成果は,経済学・地域科学・土木計画系など,1つの分野に留まらず,国内外の複数の学会にて報告された.また,この研究課題に派生する形で,地方公共団体のBCPに関する空間分析にも着手した. 地方自治体主導の研究開発助成制度が,企業活動の拡大に与えた効果の実証的評価を行う2つ目の個別研究課題については,実証分析手法の再検討を行ったことに加えて,制度を展開する各地方自治体の担当者へのヒアリング調査等,定性的な調査分析も合わせて行った.定量・定性両方の分析を踏まえた研究成果の報告は,主に地域科学系の国内外複数の学会で報告されている.また,この研究課題に派生する形で,地方自治体の中小企業支援政策の歴史的分析にも着手した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の予備分析で得られた知見を元に,さらに精緻な実証手法による分析が進展したことや,定量分析の結果と定性分析の結果とを互いに組み合わせることにより,分析結果に対する考察をより深化したものにできた.加えて,昨年度は殆ど果たせなかった,国際会議での研究成果の発信や,国外専門家との意見交換についても,これを進めることができた.また,各個別研究課題の派生として,いくつかの関連研究にも着手できた.
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Strategy for Future Research Activity |
個別研究課題の成果を,査読付国際ジャーナルへ投稿する.また,各個別研究課題の派生として着手した関連研究について,その研究成果を対外的に発信していく.一方,COVID-19パンデミックの影響で国内外の学会の多くが中止・延期される見込みであり,成果報告の可否に関する不確実性が高いことが懸念事項である.
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