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2019 Fiscal Year Annual Research Report

身体感覚を通じた場所化に関する文化人類学的研究―シベリア・ユピックを事例に―

Research Project

Project/Area Number 18J20444
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

一戸 恒人  京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(DC1)

Project Period (FY) 2018-04-25 – 2021-03-31
Keywordsアラスカ / ユピック / 空間 / 地理
Outline of Annual Research Achievements

2019年度、5月から7月にかけては、調査地である米国アラスカ州セント・ローレンス島において、現地先住民であるシベリア・ユピックの家庭に滞在し、現地調査を行なった。調査の主たる目的は、狩猟・採集活動等の野外活動への参与観察の実施であった。現地においては気候変動の影響とされる天候不良や海岸の侵食等の地理的環境の変化などが観察され、また、それに対する人々の態度について資料を得ることができた。これらの記録は、現地において変化として受け入れられている以上、空間・地理に対する認知についての歴史的な変遷を明らかにする上でも重要な資料となる。その一方で、機会に恵まれず野外活動への参与観察を計画通り十分に行うことができたとは言い難く、研究計画を見直すことが余儀なくされた。そのため帰国後は、本研究を文化人類学の枠組みに収めることなく社会に還元することを念頭に置き、人類学や地理学、人文地理学等の範疇における文献研究を行い方法論を模索する傍らで、特に建築学の分野での成果の還元を目指し、二級建築士の資格を取得した。また、自然環境との関わりのなかで、人間が意図的に自らの住まう空間を作り出す過程への理解を深めるため、建築設計・施工の現場で資料を収集することを目的とし、国内の建築士事務所における参与観察活動を開始した。これらの資料は空間と人間の関わりについての本質的な考察を可能にし、調査地セント・ローレンス島における空間の生成や変遷を論じる上で比較検討材料としても役立つと考えている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

調査地においては生業経済と貨幣経済への参与の平衡点が偏りを見せ、生活における現金の重要性が日毎に高まっており、本研究の主たる目的である狩猟・採集を中心とした移動を伴う生業活動の背景となる特異な自然環境や地理との関わりが希薄化している。本年度の調査期には現地の調査協力者の生業活動への意欲が一時的に減少していたため、目的とする狩猟・採集等の野外活動への参与観察が予定通り行うことができたとは言い難かった。こうしたことから研究の方針を一部変更せざるを得ず、従来の計画通りに研究を遂行することが難しかった。

Strategy for Future Research Activity

従来の計画では、本年度は春季から現地調査・フィールドワークを行い、特にこの時期盛んに行われる捕鯨や海氷上・海上での狩猟を重点的に調査する予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、海外への渡航が困難である現況を考慮すれば、今後数カ月以内の現地調査は現実的ではない。また、調査地は寒冷地であるため屋内における人口の密集が避けられず、医療環境が整備途上にある遠隔地であるゆえ、公衆衛生の観点からは感染症に対し非常に脆弱と言える。本年度の現地調査に関しては、今後の感染状況を注視し、渡航に関する関係国政府の方針を遵守することが第一に求められる。その上で、当面は日本国内において人類学・地理学・建築学等を中心とした文献研究を集中的に行うとともに、さらに視野を拡げ、国内において「空間を生み出す」行為に着目し、可能な範囲で建築設計・施工の現場におけるフィールドワーク等を行うことで比較研究の可能性を模索し、空間への興味を出発点とする本研究の成果を、文化人類学の範疇に収めることなく社会に還元したいと考えている。

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Published: 2021-01-27  

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