2018 Fiscal Year Annual Research Report
Bio Fashion Design: A Study on 2.5 Dimensional Fashion Pattern Cutting for Sustainable Bio-materials
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18J20901
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
川崎 和也 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | ファッション / デザインリサーチ / バイオマテリアル / デジタルファブリケーション / コンピュテーショナルデザイン / サステナブルファッション / スペキュラティヴデザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的の一つは、衣服の着用者の三次元データの利活用を通して、効率的に身体寸法にフィットした衣服の型紙を設計することである。本研究では、高精細の3Dスキャナを使用した衣服制作過程の実験を行なった。スキャナで取り込んだ着用者の三次元データを元に、ライノセラスやグラスホッパーなど三次元モデリングソフトウェアを利用し、身体形状の曲線形状を布帛に3Dプリント可能な二次元のデータへと変換するアルゴリズムを開発した。 また、本研究では、三次元データやデジタルファブリケーションの利活用を通して衣服の残布を限りなく減少させる衣服設計方法の開発を継続して実施している。ここでは、プログラミング言語pythonによって型紙の曲線部分を直線へと近似することで布帛形状に限りなく最適化し廃棄排出を減少させることができるシステムを開発した。現状は、3Dスキャンによるデータを前提とした衣服データにおける裾部分から上半身にかけてダーツと呼称される型紙の曲線部分を短冊形状と三角形によって近似することで、四角形の布帛に対して歩留まりが良く収まる様に自動生成できる様になっている。 本研究の成果発表として、本年度11月に英国で開催された「グローバル・ファッション・カンファレンス」にて口頭発表と映像発表を実施した他、ファッションの学術誌である『vanitas』にフルペーパー論文を投稿した。また、国際的なジャーナル雑誌であるワイヤードが主催するワイヤード・クリエイティブ・ハックアワード、文化庁メディア芸術祭のアート部門審査委員会推薦作品においてそれぞれ受賞をした。また、H&M財団主催のグローバル・チェンジ・アワードにおいて、世界約182カ国、6,640エントリーの諸研究の中からトップ6に選出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当該研究員の本年度は、本研究の実験環境を構築するための基礎的な研究を推進した。具体的には、開発している衣服造形方法論に型紙制作手法として応用するCADシステムの開発を、機械学習アルゴリズムの応用を通して実施した。以下の3つの段階で研究を実施した:(1) 着用者の3Dデータの応用を目的としたデジタルファブリケーション機材による実験(2)3Dデータから型紙を生成するため機械学習のアルゴリズムをプログラミング言語pythonによって構築(3)環境的持続可能性を担保したバイオ素材の実験。当該研究員は、本研究の成果を以下の様に積極的に発表している点で評価できる。11月に英国で開催された「グローバル・ファッション・カンファレンス」で3本のショートペーパー・口頭発表として発表した。次年度4月に発売のファッションの学術誌である『vanitas』にフルペーパー論文が採録決定している。本研究は、国際的なジャーナルであるワイヤードが主催するワイヤード・クリエイティブ・ハックアワードで特別賞を受賞した。また、文化庁メディア芸術祭のアート部門、審査委員会推薦作品に選出された他、本研究の社会的実装をサポートするH&M財団主催のグローバル・チェンジ・アワードにおいてアーリー・バード・特別賞を受賞した(5月初旬に発表される)。また、次年度6月にビー・エヌ・エヌ新社から出版予定の『Beyond human-centered design(仮)』に主編著者・著者として参加することが決定している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、2種類の実験を実施する。(1)バクテリアの混合体であるSCOBY(Synthetic Colony of Bacteria and Yeast)の培養を昨年度整備した実験環境において実施し、定量的なデータや詳細な手法を記録・記述することで体系化を行う。また、生成された素材を応用した衣服の制作も引き続き実施していく。(2)魚皮や果実の残部などをテキスタイルの原料として利活用するための予備調査をフィールドワークやエキスパートインタビューなどを通して実施し、制作実験を行う。京都精華大学におけるフィッシュレザー研究コミュニティや北海道アイヌ文化研究者などとのコラボレーションを通して、一般的に廃棄物であると見なされる潜在的素材を発掘し繊維へと応用するための手法を検討する。【2】デジタルファブリケーションの応用方法:本研究では、ライノセラスやグラスホッパー、あるいはファッション専用のCLO 3DなどのCADや スキャナによって取得したデータの利活用を通して、従来の型紙設計方法の合理化・最適化を検討する。型紙制作のプロセスにおいては曲線形 状と四角形の布帛の差分によって年間生産量の約15パーセントの繊維が廃棄されていると言われている。この布帛の廃棄を設計過程において減少させるため、三次元技術を応用した新たな手法を開発する。具体的には、2つの観点から実験を実施する。(1)ファッション専用の3D CADの応用を通した型紙設計プロセスを制作を通して検討する。また、実験とサイズフィットのためのサービスへの応用を検討するため、CADの応用に併せてスキャナによる身体データの活用方法を検討する。(2)身体の三次元を反映した型紙を前提としても限りなく残布を排出しないように機械学習のアルゴリズムを応用し、曲線を直線へと近似させるプロセスを開発する。
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Research Products
(5 results)