2018 Fiscal Year Annual Research Report
Sociology of aging self in the depopulated area : Life story of people in former mine town Ashio
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18J20976
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Research Institution | Nihon University |
Research Fellow |
三浦 一馬 日本大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 過疎地域 / 聞き取り調査 / 地域・文化 / 鉱山町研究 / 個人生活史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では過疎地域で生きていくことの主体的な体験を明らかにするために、過疎地域で地域の衰退を経験してきた高齢者に聞き取り調査を行ってきた。 2018年度では、足尾町で8件のインタビューデータを収集し、さらに元銅山関係者から足尾の閉山後に関する取り決めについての貴重な資料をいただくことができ、文献・資料収集においても大きな成果が得ることができた。そして、3月には研究協力者として関わっている科学研究費 基礎研究(C)「産業遺産の記憶と“生きられた”生活世界の社会学:足尾の生活文化史聞き取りから」(代表者:好井裕明)で発行した報告書で文章を執筆した。ここでは聞き取り協力者の方と原稿の内容確認を行いながら執筆を進めることができた。また、これに伴って足尾町の地域おこし協力隊の方と合同で企画した足尾町での報告会に参加し、これまで研究成果を地域の方々へ報告することができた。 また、調査で得られたデータの解釈について研究会などで議論した上で、その成果を日本社会学会で報告し意見を頂いた。さらに、1月には鉱山研究会の例会で報告させてくことができ、厳しい意見を頂いた。 比較対象地として、北海道の夕張市での調査を数回行っている。現地での協力者として元夕張博物館の学芸員をされていた方と関係を作り、夕張の現状や聞き取り調査の協力をお願いすることができた。また、その方の紹介を通して、今年度ではプレ調査として今も夕張で暮らしている元鉱員2名に聞き取り調査を行うことができた。実際に夕張で暮らす方から夕張の現状を聞けたことが大変有益であった。来年度からの本格的な調査に備えて協力者の方と調査計画について相談して進めていくつもりである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は十分な調査を行う事ができたので、調査地である足尾町においては、語り手の方との信頼関係を築きあげながら順調に調査データを収集できている。とりわけ昨年度においては調査協力者として関わっていた科学研究費の報告書の執筆にあたり、出来上がった文章を語り手に読んでいただき校正を進めるなど丁寧に確認作業を進めていた。年度末には足尾町で地域の方に向けて行われた報告会にも参加し、研究成果の還元にも繋がった。 こうして得られた成果については着実に関連する研究会や日本社会学会大会で報告をしており、意欲的に学外の研究者とも情報交換を行っている。 また、当初より計画していた比較対象地へのプレ調査も行う事ができた。新たな調査地として旧産炭地であった夕張でもフィールドワークを開始し、こちらの方ではこれから本格的な調査を行うために地元の協力者との関係形成も丁寧に進めており、来年度から進める予定の調査成果にも期待が持てる。 以上のことから、予定通りそしてそれ以上研究が進展し、それに見合う成果も出しつつあると言え、当該年度においては、順調に研究が進展したと評価する
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Strategy for Future Research Activity |
研究目的を達成するため、 調査旅費として、今年度は足尾町で1ヶ月に一回のペースで年間10回のフィールドワークを行い、聞き取りデータを収集していく。これまで通り、足尾で長く暮らしてきた人々が今の足尾に何を感じ生きているのか、個人の主観的な体験を丁寧に聞き取っていく。 また、前年度で足尾にはまだ未整理の文献資料が多く、これを整理する必要があることが見えてきたため、これら文献の整理作業も順次進めていく。 適宜、関連書籍、雑誌を購入したり、資料の複写費したりし、情報収集に努める。 さらに、昨年度から比較調査地として北海道の旧産炭地、夕張を選定した。調査を行うための調査協力を現地の方に依頼し関係づくりを行な ってきた。その結果、前年度では2名にプレ調査として聞き取りを行うことができたが、今年度からはこれを元に明確な研究目的を設定し、本格的な聞き取り調査を実施する予定である。夕張へは2ヶ月に1回、年間5回の調査を計画している。また、調査と同時に研究蓄積のある北海 道大学の研究者と情報交換などを行い、連携をしていきたい。 学会参加旅費として、国内の関連学会に参加し、情報交換を積極的に行う。H31年度では関西社会学会、村落研究会への参加 を計画している。足尾町でのフィールワークによって、これまで得られた成果をまとめて、雑誌への投稿(具体的には年報社会学論集への投稿 )を計画している。
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Remarks |
・「足尾の概要」p8-12/「足尾のなかで老いるということ 変わりゆく足尾の納涼祭 / 足尾高校定時制と聞き取り」p47-75 科学研究費 基礎研究(C)「産業遺産の記憶と“生きられた”生活世界の社会学:足尾の生活文化史聞き取りから」(代表者:好井裕明):報告書『ごめんください、足尾のこと教えてください 科研費版』2018年12月30日
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Research Products
(2 results)