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2019 Fiscal Year Annual Research Report

中近世東地中海における複数文化圏の交錯―「境界域」としてのキュプロスから―

Research Project

Project/Area Number 18J21015
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

藤田 風花  京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)

Project Period (FY) 2018-04-25 – 2021-03-31
Keywordsキプロス / 東地中海 / 十字軍国家 / ヴェネツィア / オスマン帝国 / 正教会 / リュジニャン朝 / 教会合同
Outline of Annual Research Achievements

2019年度前半は、2018年度中に新たに入手したヴァチカンの布教聖省関連史料の概要の把握と、キプロス史研究および近世東地中海史研究におけるその可能性について検討した。その成果にもとづき、2019年6月22日に開催された京都歴史学工房第5回例会において、口頭発表をおこなった。また、この史料群のうちある宣教師の報告書に焦点をあて、特定の港湾都市に到来するさまざまな人々の相互交流のあり方を分析した。その成果について、2019年8月7‐9日に開催された中近世イタリア史研究会において、口頭発表をおこなった。

2019年年度後半からは、前年度に引き続き、リュジニャン朝期キプロスにおける正教会とカトリック教会の併存体制についての考察をおこなった。
2019年10月からは、英国のバーミンガム大学ビザンツ・オスマン・近現代ギリシア研究所にて、在外研究を実施した。2019年10月29日には、バーミンガム大学の歴史系横断セミナーにおいて、キプロス史研究における「ラテン人支配期」の歴史的評価、そして正教会とカトリック教会の関係について、英語で口頭発表をおこなった。2020年2月3日には、ロンドン大学歴史学研究所の十字軍・ラテン東方セミナーにおいて、いわゆる「東西教会合同」とローカルな正教会とカトリック教会の併存体制との関係について、英語で口頭発表をおこなった。本セミナーにさいし、十字軍国家史・キプロス史を専門とするカーディフ大学名誉教授のピーター・エドベリ氏との面談の機会を得て、氏と中近世キプロス史にかんする議論をおこない、研究遂行上の有益な助言を得ることができた。

また、前年度中に投稿していたキプロスにおける対抗宗教改革についての論説が、学術雑誌『史林』に掲載された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

まず、前年度までの研究成果をまとめた論文が学術雑誌『史林』に掲載された。
当該年度前期には、教皇庁関連の史料の概要の把握と、キプロス史研究および近世東地中海史研究におけるその可能性について検討し、その結果をふまえて、国内の複数の研究会で口頭発表をおこなった。

さらに、当該年度の後期からは、英国のバーミンガム大学ビザンツ・オスマン・近現代ギリシア研究所において、ダニエル・レイノルズ氏の指導のもと、在外研究を実施した。バーミンガム大学およびロンドン大学歴史学研究所のセミナーにおいて、英語による口頭発表を複数おこない、中近世東地中海史や東西教会の関係史の専門家からコメントを受けることができた。それらのアドバイスの内容を加味し、十字軍国家であるリュジニャン朝期キプロスにおける正教会とカトリック教会の併存体制について、考察を進めた。

Strategy for Future Research Activity

9月初旬までは、バーミンガム大学において、ダニエル・レイノルズ氏の指導のもとで在外研究を継続する。2018年に刊行された中近世キプロスの正教会史を主題とした研究書について、英語で書評を執筆し、学術雑誌に投稿する準備を進めているところである。

また、前年度からの考察課題であったリュジニャン朝期キプロスにおける正教会とカトリック教会の併存体制の成立過程とその意義について、論説にまとめ、年度内に学術雑誌に投稿する。

次に、1439年のフィレンツェ公会議における東西教会合同宣言が、キプロスにおいていかに受容されたのかという問題にかんする考察に移る。本テーマの予備的考察については、すでに在外研究中に口頭報告をおこない、東西教会関係の専門家から研究上のアドバイスを得た。それらの助言にもとづき、史料の読解と分析を進める。その考察の内容を論説にまとめ、学術雑誌に投稿する準備を進める。

  • Research Products

    (5 results)

All 2020 2019

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (4 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results,  Invited: 3 results)

  • [Journal Article] 東地中海世界と対抗宗教改革―ヴェネツィア領キプロスにおける正教徒とカトリック信徒―2019

    • Author(s)
      藤田風花
    • Journal Title

      史林

      Volume: 102 Pages: 1-37

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 'Union' of the West and the East in the Local Context: The Relationships between the Orthodox and the Latin Churches in Lusignan Cyprus2020

    • Author(s)
      Fuka FUJITA
    • Organizer
      Crusades and Latin East Seminar
    • Int'l Joint Research / Invited
  • [Presentation] 中近世東地中海世界における宗教文化圏の交錯―ヴェネツィア支配末期からオスマン支配初期キプロスを中心に―2019

    • Author(s)
      藤田風花
    • Organizer
      京都歴史学工房第5回例会
    • Invited
  • [Presentation] 17世紀前半におけるカトリック宣教活動とキプロス社会―カルメル会士ピエトロ・ヴェスパの報告書を中心に―2019

    • Author(s)
      藤田風花
    • Organizer
      中近世イタリア史研究会
  • [Presentation] Religious Coexistence in the Eastern Mediterranean World: From the Perspective of Cyprus under the Latins2019

    • Author(s)
      Fuka FUJITA
    • Organizer
      The Birmingham Research Institute for History and Cultures Seminar
    • Int'l Joint Research / Invited

URL: 

Published: 2021-01-27  

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