2019 Fiscal Year Annual Research Report
動学的アプローチによる現代日本女性のライフコースの特徴とそのメカニズム
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18J21033
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
池田 岳大 東京大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | ライフコース研究 / キャリア研究 / 社会階層論 / 計量社会学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,博士論文執筆に向けた研究課題の整理,夏季から秋季の学会報告,通年でのTAとしての教育活動を中心に行った. 本研究の進捗としては,昨年度収集した女性のライフコース研究,キャリア研究に関する先行研究の整理を受けつつ,研究の射程を特に専門職女性に定めて文献整理と執筆を進め,議論の土台づくりに努めた.特に,職業閉鎖という概念に着目し,いわゆる資格職がもつ入職制限や資格のラベリング機能が,その後の女性のキャリアに及ぼす効果に関する研究整理を進めた.ただし,日本ではこの手の研究蓄積が少ないため,主に欧米の社会学ジャーナルをあたり,およそ1970年から直近までの研究潮流についてまとめた. 次に学会報告だが,夏季のオランダにおけるICASでの性別職域分離に関する学会報告,数理社会学会での労働市場の地位達成に関する報告,秋季の日本社会学会における女性の労働時間の動態的変化に関する報告を行った. さらに,冬期には女性のキャリアとライフコースに関する振り返り調査の準備を進めた.今年度までに調査票の作成と調査対象者の抽出シミュレーションが完了し,3年次の6月に実施予定である.具体的には20歳から40歳までのおよそ20年間の職業や家族形成に関する変化を調査した. 教育活動であるが,東京大学教育学研究科にて行われる教育社会学調査実習におけるTA(ティーチングアドバイザー)を務めた.本授業は社会調査士の資格取得のための認定授業であり,受講学生に対して,計量的な教育社会学的研究に対する助言を行った.具体的には研究におけるテーマ設定,調査票の作成,分析(統計ソフトの使い方から分析方法まで),報告書の作成に関する助言を行い,次期研究者の育成にも尽力した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに本研究の土台となる理論枠組みに関する文献の整理と執筆,さらには実証パートの一角をなす分析と,また別の分析で必要となる調査の準備を進めることができ,おおむね順調に進展した.具体的には,ライフコースに関する先行研究の整理に加え,社会学における専門職研究の整理と執筆を進め,また,二次分析データを使用した女性の労働時間の動態的変化に関する分析と専門職女性の離職,再就職移行研究を進めた. また,冬期には壮年女性に対するアンケート調査の準備を進めることができ,来年度本格的な調査,分析を進めるための準備を進めることができた.具体的には,自身のライフコース振り返り調査を実施し,初職から40歳までのおよそ20年間の職業や家族構成の変化などのデータを取得する予定であり,本年度までに調査票の作成と調査対象者の抽出シミュレーションが完了させることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
まず4月から5月において,本研究における理論パートの文献整理と執筆を進め,本研究の議論の土台を完成させることを目指す.さらには現在執筆中の論文に関して6月から7月にかけて投稿を行うことを目指す. 6月には調査会社の登録モニターに対する壮年女性に対するライフコース振り返り調査を実施する(コロナの影響によって延期する可能性あり).調査データについては,データクリーニング,基礎集計,図表作成等を進め(研究アルバイトに依頼予定),本格的な分析を8月に実施する予定である. 同時並行で別パートの実証分析を二次分析を利用して進め,夏までに2つの実証分析を完了させる.9月以降に実証分析パートを修正し,その後,実証分析結果のまとめの執筆を進める予定である. また学会方向についても,夏季から秋季に実施予定の学会に参加する.具体的には数理社会学会において,専門職女性の離職に関する二次分析結果の報告,さらに日本社会学会では6月実施の調査を用いた調査結果の報告を予定している.
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Research Products
(4 results)