• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2018 Fiscal Year Annual Research Report

身体化する道具:機能性の影響とその神経基盤

Research Project

Project/Area Number 18J21239
Research InstitutionHiroshima University
Research Fellow 平本 亮介  広島大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC1)
Project Period (FY) 2018-04-25 – 2021-03-31
Keywords身体化 / 機能性 / 感覚統合 / 脳活動
Outline of Annual Research Achievements

道具など身体の外部に存在する物体が,身体に馴染むようになる現象を身体化と呼ぶ。この現象の生起には個人差があることが知られており,現象を理解するためのモデルの開発が求められる。モデルの開発は,基礎知見の蓄積だけでなく,仮想現実や身体拡張などの応用分野の発展に寄与するものと考えられる。そこで,本研究では心理学・分子生物学・脳科学に基づく包括的モデルの開発を目指す。
申請者は身体化を実験的に操作するためにラバーハンド錯覚と呼ばれる身体錯覚現象に着目し,広島大学の学生を対象として実験を行った。ここでは,身体化の対象となる物体を用いた目的的行動を遂行すること(機能性)が,身体化の強度を促進することが明らかとなった。また,目的的行動を遂行することで,従来の研究では身体化が生じないとされた木の棒のような物体に対しても身体化が生じることが示された。本研究の詳細な内容は日本認知心理学会第16回大会で公表され,総合性評価部門における優秀発表賞を受賞した。
また,身体化との関連の深い,身体所有感と呼ばれる身体が自分に帰属している感覚について,その感覚に根差す脳活動を同定するための調査を行った。調査には,日常的な身体感覚の非定常性を評価する質問紙である embodied sense of self scale を用い,特定の課題を与えていない状態で計測される安静時脳活動との関連について108名の大学生を対象に検証を行った。その結果,脳のfront-central 領域におけるβ波の自己相関の持続性と,日常的な身体所有感の非定常性の得点の間に正の相関が認められた。本研究の成果は,21st conference of the European Society for Cognitive Psychology (ESCoP) において公表が予定されている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

身体外部の物体が身体に馴染むようになる現象である身体化を対象に,それが促進される状況を明らかにするための行動実験及び,身体化に関連の深いとされる,身体所有感の定常性に関与する脳活動の検証を行ってきた。これらの研究成果は,学会での発表を行い,現在国内外の雑誌への投稿準備を行っている。特に,発表した内容は優秀発表賞を受賞しており,現在展開している研究が高い評価を受けていることを裏付けている。これらの検討によって得られた知見は,基礎知見の蓄積にとどまらず,仮想現実や身体拡張などの分野の発展に寄与することが期待されるものである。さらに,計画当初は予定していなかったが,仮想現実技術を用いた研究の実施の可能性を見出しており,そのために要求されるC#等のプログラミングスキル等を身に着けてきた。身に着けた技術を活用し,仮想現実技術を用いた実験環境の構築を進めており,今後の実験を実現するための準備も万全である。また研究室で進行しているプロジェクトにも積極的に参加することで,脳波計測を用いた実験実施並びにその解析法についても研鑽を積んでいる。

Strategy for Future Research Activity

今後の研究遂行に関して,身体化に関連する脳活動と身体化に影響する要因(機能性)をそれぞれ明らかにしてきた。これらの知見をもとにして,身体化における機能性の神経基盤の検討を行う予定である。具体的には,行動実験で用いられた器具や手続きを活用し,それらを脳計測研究に適応させた状態で実施する。脳計測に関する倫理申請を行い,実施上の問題がないとされた時点から募集を開始し,実験を開始する。また,仮想現実技術を用いた検証をすることで,本研究で得られた基礎知見の応用性についても検証を行う予定である。

Research Products

(3 results)

All 2018

All Presentation (3 results)

  • [Presentation] 形態的類似性と行為の意味性が身体認識に与える影響2018

    • Author(s)
      平本亮介・金山範明・宮谷真人・中尾敬
    • Organizer
      日本認知心理学会第16回大会
  • [Presentation] 木の棒に対するラバーハンド錯覚 -意味ある行為遂行は錯覚を生じさせるか-2018

    • Author(s)
      平本亮介・金山範明・中尾敬・宮谷真人
    • Organizer
      第10回多感覚研究会
  • [Presentation] 使える身体2018

    • Author(s)
      平本亮介
    • Organizer
      Psychological Education And Conference for Enriching

URL: 

Published: 2019-12-27  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi