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2019 Fiscal Year Annual Research Report

議会政党の発展:初期議会における政党代議士の行動と論理

Research Project

Project/Area Number 18J21247
Research InstitutionThe University of Tokyo
Research Fellow 松本 洵  東京大学, 法学政治学研究科, 特別研究員(DC1)
Project Period (FY) 2018-04-25 – 2021-03-31
Keywords政党 / 初期議会 / 自由民権運動 / 府県会 / 政党組織 / 政党観 / 政党システム / 党議拘束
Outline of Annual Research Achievements

2019年度は、政党組織と政党システムの二つの次元を意識しつつ、引き続き日本における政党の受容と展開を検討した。
日本の政党の萌芽期において、政党組織に関連する問題としては、政党の結合の様態をめぐる議論が挙げられるが、この点について検討するため、政府の政党取締法案や、末広重恭の独立政党論などを素材として検討を行った。議会開設前後には、凝集性を高めた政治的集団を<政社>としてネガティブに捉え、緩やかなつながりに基づく集団を真の<政党>とみる政党観が広く流布した。しかし、このような政党観は、徒党あるいは私党と結び付けられた儒教以来の反党派的な色彩を堅持しているため、複数の人々が結合することによって、個人では達成できない大きな力を獲得することができるというイメージが欠如しており、集団的な行動という観点から政党の効用を正当化することが困難である。そこで、政党の正統性はむしろ政党システムの観点から先に認められたのではないかというのが現時点での仮説である。すなわち、政党について語られるとき、そこには複数の政党の存在が当然に前提されており、それらの相互の競争によって社会の進歩が促されるという見通しに基づいて政党が受容されたのである。
ただ、政党組織(政党の結合の様態)と政党システムの問題は截然と区別しうるものではないという点には留意が必要である。政党システムの構成要素として認められるために政党が満たすべき要件は何かという問題は、まさしく政党組織の問題だからである。今後は、両者の連関にも注意を払いつつ研究を行っていきたい。
上記の研究にあたっては、神戸市文書館(鹿島秀麿関係文書)、島根県庁、高知市立自由民権記念館(細川家文書、弘瀬家文書など)での史料調査を行った。特に、高知市立自由民権記念館では、初期議会期に代議士から地元の支持者に送られた書簡など様々な興味深い史料を閲覧することができた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

研究実績の欄に記した通り、政党観に着目した政党の受容史についてはかなり大きな成果が得られた。しかし、本研究は、政党観という理念の次元と、現実の政党の活動という二つの異なる次元の双方向的な影響関係に留意しつつ政党の受容と展開を検討することを課題としており、現時点では、現実の政党の活動についての解明は、まだまだ残された課題が多い。具体的にいえば、先行研究は議会開設前の政党について、その運動体としての側面に関心を集中させてきたが、本研究では府県会などの議事機関における政党のあり方についても、引き続き検討を深めていく必要がある。

Strategy for Future Research Activity

COVID-19による目下の史料館や図書館施設の閉館など先を見通すことが困難な状況であるが、当面は、デジタル史料などを利用して研究を継続していく。まず、1880年代に刊行された翻訳書を含む政党関連書籍を網羅的に参照し、欧米の政党に関する情報が日本にどのように伝えられたか、そして、儒教など日本に特殊な前提を加味した上で、政党がどのように理論化されたかという点について検討を行う。また、立憲帝政党を創設した福地源一郎の『東京日日新聞』の紙面を参照して、新聞紙面を通じた政党をめぐる議論の展開についても追跡してみたい。さらに、公文書を対象として、政府の政党取締の論理などについても引き続き検討を行うつもりである。
情勢が許せば、年度後半には、洲本市立淡路文化史料館で高津家保管文書を調査したり、高知市立自由民権記念館を再訪することも検討している。
今年度は博士課程3年目にあたるため、以上の研究の成果を博士論文として仕上げることを目標とする。

Research Products

(2 results)

All 2019

All Journal Article (1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] 初期議会自由党の<党議>――議会制度下における一体性の模索――2019

    • Author(s)
      松本洵
    • Journal Title

      国家学会雑誌

      Volume: 第132巻9・10号 Pages: 41~101

  • [Presentation] 第1議会の自由党と『党議』―政党の紐帯を求めて―2019

    • Author(s)
      松本洵
    • Organizer
      日本政治学会研究交流部会 戦前戦後・比較政治史フォーラム/現代政治過程研究フォーラム

URL: 

Published: 2021-01-27  

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