2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18J21384
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Research Institution | Tohoku University |
Research Fellow |
武関 彩瑛 東北大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 西洋美術史 / 古代ローマ美術史 / ポンペイ |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は、これまでコピーとして論じられていた作品群のなかにおいて、全体の構成を変えずに一部の神話的モチーフを入れ替えて反復させていた事例があることについて考察するにとどまっていた。しかし今年度は、そうした作品群のなかでも背景に描かれたモチーフや自然描写に着目し、コピーを制作する画家による各モチーフに対する意識の差異について検証した。結果については、その一部を5月に行われたイタリア言語・文化研究会159回例会にて口頭発表を行った。また別のモチーフにかんする結果については、9月にナポリで開催されたXIV convegno internazionale AIPMA(第14回国際ローマ壁画学会)にてポスター発表を行った。発表後のフィードバックを受け、再度内容の精査を行ったのちにプロシーディングを投稿した。 また、8-9月にイタリア・イギリスの現地遺跡や博物館・図書館等で行った調査を踏まえ、昨年度および今年度の研究成果を改めて精査し、議論の中心に据えていた「神官アマンドゥスの家」にかんする新たな見解を加えて『美術史学』に投稿し、受理された。 また、2月にローマにて行われた国際ワークショップ、Asian and North African Studies in a Globalized and Interconnected Worldにおいては、上記の海外調査の結果を踏まえ、イタリア半島内で描かれた異国表現に表われる自然描写について口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は古代ローマにおいて室内装飾の自然描写に求められたものについて明らかにすることを目的としている。初年度であった昨年度においては、壁画のコピーにかんする先行研究の矛盾を指摘するに至り、研究のスタート地点を設定し直す必要が生じていた。そのため今年度は、昨年に達成できていなかった背景描写のコピーにかんする問題から取り組んだため、研究進度にやや遅れが出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
次に完成すべき課題は、ヴェスヴィオ地域外の自然描写にかんする検証である。この課題については、本年度末の国際ワークショップにおいてイタリア半島内の異国表現に触れることで、その一端を論じることが出来た。次年度においてはその対象地域をより広げ、特に属州美術における自然表現との差異について考察を進める。
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Research Products
(4 results)