2018 Fiscal Year Annual Research Report
新手法による骨格・顔面の三次元的形状評価を用いた日本人頭蓋からの復顔法の確立
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18J21397
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
波田野 悠夏 東北大学, 歯学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 復顔 / 人類学 / 歯学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は日本人を対象とした復顔法の確立を目的とする。特に顔を形作る重要な因子である歯列形態と咬合の影響(凸型・正常・凹型)を考慮した顔面の筋群を含めた軟組織厚の調査を行い,客観性のある精度の高い復顔を行うための標準的指標を得ることを本研究の主目的とする。研究は,①計測基準点の設定②軟組織の重ね合わせ③採取した軟組織厚の検証④復顔への応用の4ステップでの遂行を目指す。1年目は「①;正常位症例を使用しCTより骨外形を抽出・計測点の確認・方法論の検証」,「②:①で抽出した骨外形と顔面形状の重ね合わせ、及び軟組織の計測方法を検討する。」が達成目標で,2019年1月の時点で目標は完了している。また本研究から派生した異分野融合研究について,遺跡から出土した人骨の復顔依頼の受諾・共同研究を積極的に行った。①東北学院大学考古研の辻教授より福島県灰塚山古墳出土した人骨調査を依頼され,同位体専門の東京大学米田教授,DNA解析の山梨大学安達教授,新潟医療福祉大学の奈良教授と共同研究を行った。本研究室は出土人骨の復顔を行い,成果を骨考古学協会で発表・新聞報道された。②出身地の新潟県長岡市を,江戸時代治めていた牧野家の歴代当主の頭蓋を形態学的に分析し,復顔を行うという貴族形質の顔貌変遷を追うプロジェクトに参加し,復顔作業を担当した。成果は平成31年3月に行われた,第124回日本解剖学会総会・全国学術集会において開催された市民公開シンポジウムで発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は日本人を対象とした復顔法の確立を目的とする。特に顔を形作る重要な因子である歯列形態と咬合の影響を考慮した顔面の筋群を含めた軟組織厚の調査を行い,客観性のある精度の高い復顔を行うための標準的指標を得ることを本研究の主目的とする。軟組織厚は計測部位によって姿勢の違いの影響を受ける事が予想されるため,立位・仰臥位の2姿勢についても変化を検討した。研究は①計測基準点の設定②軟組織の重ね合わせ③採取した軟組織厚の検証④復顔への応用の4ステップでの遂行を目指している。 現在まで「①;正常位症例1例を使用しCTより骨外形を抽出・計測点の確認・方法論の検証」,「②:①で抽出した骨外形と顔面形状の重ね合わせ、及び軟組織の計測方法を検討する。」ところまでが完了している。 ①については, 正常症例1名のCTデータから骨抽出を行い, 3Dプリンターで模型を製作した。使用する計測点は, 既存する論文で定義が計測者により大きく異なる計測部位が判明したので, 本研究では下顔面に注視し骨の計測で明確にできる点を採用することにした。 ②については、仰臥位と立位で軟組織厚の表面データを採取し、重ね合わせることに成功した。ただし、立位の軟組織データは3Dカメラ(3方向から撮影した者を立体構築するカメラ)を利用する場合は、撮影の手技によって歪みが出現することが多く、仰臥位のデータと重ね合わせる場合に不具合が生じることが判明した。よって重ね合わせで使用する際、歪みがないと判断できる数値を明確にした。また骨表面から軟組織を計測する方法については、骨の微少な凹凸のノイズの影響を受けてしまう問題を内包していたが、情報科学の専門家と相談し、CT像を相同モデル化することで計測方法に活路を見いだした。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では,骨表面からの軟組織厚を三次元的に求めて復顔の精度向上を図る。 具体的には骨の表面形状を三角形ポリゴンで近似し,各三角形の法線が皮膚面と交わるまでの距離をコンピュータ上で測定する方法を用いる。資料は東北大学病院顎顔面・口腔外科において外科手術を受ける患者のCTデータ及び非接触型三次元形状スキャナ(現有設備)による顔面形状撮影を行い,倫理規定に則り使用する。 本年度以降は患者のCTデータを上顎骨と下顎骨の位置関係から凸型・正常型・凹型に分類した各症例のデータ収集を調査を行う。初年度で様々なソフトウェアを検討し決定したCT解析用ソフトを購入し,確立した骨表面の基準点の設定・方法論に従って軟組織厚を計測していく。仰臥位・座位に区別して重ね合わせを行い,姿勢による軟組織厚の変化を各症例別に検証する。資料数の増加が見込まれるため,個人情報保護に留意して行う。採取した軟組織厚の計測値は,顔貌別,体位別,性差などを統計用ソフトウェアで軟組織厚の分析を行う。軟組織厚の平均値を被験者個別のCTデータに当てはめ,どこまで再現性が高いか確認する目的で,試験的に復顔像を製作し方法論のフィードバックを行う。並行して古人骨の復顔に応用するため,現代人と異なった古人骨復顔特有の課題を検討し,将来博物館展示等で研究成果のアウトリーチを行えるよう準備していく。
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Research Products
(4 results)