2020 Fiscal Year Annual Research Report
レーザースピン分解ARPESによる薄膜スピン分裂バンド制御
Project/Area Number |
18J21892
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野口 亮 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 高次トポロジカル絶縁体 / 角度分解光電子分光 / ラシュバ効果 / スピン偏極 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は擬一次元ビスマスハライドの中でも特有の積層構造を持つビスマス臭化物(Bi4Br4)の電子状態を精密に調べた。Bi4Br4は結晶のヒンジに一次元のヒンジ状態を有する高次トポロジカル絶縁体と理論的に予想されていた。我々は角度分解光電子分光(ARPES)・スピン分解ARPESによってヒンジ状態に対応する一次元電子状態の観測を行った。さらに実験で観測されるスピン偏極度が従来の弱いトポロジカル絶縁体であるβ-Bi4I4の場合とは異なった特徴を示すことを見出し、Bi4Br4が三次元結晶として初めて高次トポロジカル絶縁体となっている証拠を提示した。本結果は積層構造によって物質のトポロジーとスピン流を制御するという、新しいスピン偏極電子制御の方向性を実証していると言える。また、量子井戸薄膜を用いたラシュバ効果制御においても、量子井戸系一般に適用可能なラシュバ効果のスケーリング則を見出すという成果を得た。典型的な量子井戸薄膜であるAg/Au(111)では、基板による空間反転対称性の破れにより量子井戸状態がラシュバ効果を示す。我々はスピン分解ARPESによってラシュバ効果の膜厚と量子準位依存性を精密に測定し、理論計算と組み合わせることでラシュバ効果のメカニズムを考察した。その結果、スピン分裂の大きさは界面の電子密度と各原子のスピン軌道相互作用係数であらわされるというスケーリング則を見出した。本結果は基板と薄膜でスピン軌道相互作用の大きさが違う物質を使うと効果的にスピン分裂を引き起こせるということを意味しており、今後新たなラシュバ物質を探す際の重要な指針となると考えられる。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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[Journal Article] Devil's staircase transition of the electronic structures in CeSb2020
Author(s)
Kuroda Kenta、Arai Y.、Rezaei N.、Kunisada S.、Sakuragi S.、Alaei M.、Kinoshita Y.、Bareille C.、Noguchi R.、Nakayama M.、Akebi S.、Sakano M.、Kawaguchi K.、Arita M.、Ideta S.、Tanaka K.、Kitazawa H.、Okazaki K.、Tokunaga M.、Haga Y.、Shin S.、Suzuki H. S.、Arita R.、Kondo Takeshi
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 11
Pages: 2888-1~9
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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