2018 Fiscal Year Annual Research Report
Nonlinear control combining symbolic and numerical computations by using algebraic geometry
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18J22093
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Research Institution | Kyoto University |
Research Fellow |
庵 智幸 京都大学, 情報学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 最適化 / 非線形 / 代数学 / 数式処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,数式処理と数値計算の融合による非線形制御アルゴリズムの開発である.適用範囲が広く計算コストの小さい数値計算と,厳密な計算や未知パラメータを含んだ計算を得意とする数式処理を組み合わせることにより,両者の利点を持ち合わせた非線形制御アルゴリズムを開発できる可能性がある. 本年度の研究計画では,数値解法の一種であるペナルティ関数法と射影代数幾何学の成果による数式処理の組み合わせについて,制御アルゴリズムの土台となる基本的な定理の証明を計画していた. これに対し本年度では,まず当初の目標であった特異点の解析に関する定理の証明を完成させた.これらの定理は,無限遠にある最適解候補点に向って伸びる軌道を斉次化・非斉次化という操作によって原点を通る別の軌道へ移し替えることができること,そして,移し替えたあとの軌道の原点での接錐を求めることで解候補点の具体的な値が計算できることを示すものである.この結果を用いることによって,ペナルティ関数法におけるペナルティパラメータの極限操作を,数式処理を用いて厳密に計算することが可能となる.現状は雛形であり有効性は考慮できていないものの,これらの結果を用いて具体的に最適解を求めるアルゴリズムも提案しており,この点においては計画以上の成果を出している.また,得られた定理の適用範囲が従来法であるKKT条件よりも広い可能性があることを発見し,提案手法においてKKT条件を満たさないような最適解が求まるための条件の整理を行った. これらの成果に加えて,本年度では数式処理と数値計算を組み合わせた状態推定手法についても検討を行い,数式処理を用いた最適制御問題に対する従来手法を最適推定問題へと応用した新しい解法を提案している.これにより,本研究課題における成果の応用範囲が非線形制御にとどまらず,非線形システムの状態推定にまで拡がることが期待される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度における当初の計画では,今後の研究の基礎となる定理の証明が主な進捗となる予定であった.しかしながら,実績の概要でも述べたとおり,雛形ではあるものの具体的に解を求めるアルゴリズムを開発したほか,状態推定問題に対する数式処理を用いた解法を提案したことなど計画以上の進展が見られるため,このような評価とした.
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Strategy for Future Research Activity |
今後はまず,本年度で得られた研究成果の発表を行っていく.また,解の候補を計算するのに必要な情報が接錐という局所的な情報のみである,という事実を利用してアルゴリズムの効率化を目指す.加えて,制御アルゴリズムへの応用を見据え,未知のパラメータを含むような問題設定へ対応できるようアルゴリズムの拡張を行う.
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