2019 Fiscal Year Annual Research Report
Kingship and Royalism in Early Modern Britain
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18J22150
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
李 東宣 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | イングランド国教会 / 国家教会関係 / コモン・ロー |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、教会という、しばしば普遍的な脱国家志向の思想を醸成する集団がいかに一国の国制に収まり、さらにその集団がいかに王権を擁護したかという問題に答える手がかりを見つけることができた。今年度の10月5日から、サラ・モーティマー教授を受け入れ教官としてオックスフォード大学歴史学部に滞在しつつ得た知見から、国教会聖職者でありながらコモン・ローやイングランド国制の重要性を説いたトマス・バーロウ(1609-1691)という人物の著作を中心に調査を進める運びとなった。トマス・バーロウおよび彼を取り巻く人物らの著作の多くは幸運にも滞在先のオックスフォードに所在しているいくつかの図書館・史料館に残されている。特にボドリアン図書館とクイーンズ・カレッジ図書館に多くの関連する所蔵資料があり、様々な手稿の把握・読解・撮影に努めた。一連の作業の結果、1650年代から1670年代の国教会聖職者を主な対象とし、以下4つの主題で今後博士論文を執筆する見通しが立った。A.自然法・神の法・イングランド法の関係(イングランド法はどこまで優先的に適用されるか?) B.貴族院における主教の権利(主教はなぜ議会の上院で投票権を持つのか?) C.イングランド教会史と世俗史叙述(国教会史はどのようにしてイングランド国制史に組み込まれたのか?) D.オックスフォードにおける団体の属性と裁治権論争(カレッジは聖か俗か?裁治権を持つのは教区主教か議会か?)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度は幅広く地盤を固めたものの、博士論文にまとめる具体的な目処が立っていなかったが、在外研究中豊富な史料が入手できたことにより、上記の通り、論文作成が順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
上に述べた4つの論点を中心に調査と精読を続け、博士論文への集大成を目指す。新型ウィルスにより史料へのアクセスが目下制限されているが、ひとまず精読すべき史料はすでに手元にあるか、オンラインで閲覧可能である。
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